最初に
移住する人、したい人、みんなが必ず苦労すること。それは、「家探し」。
田舎には空き家が多いと聞くのに、なんで家探しに時間がかかるのか。
そんな疑問にお答えいただこうと、能登不動産株式会社(能登町)に能登での家探しについてお話しを聞きました。
能登不動産株式会社(以下、能登不動産)は、能登町、珠洲市を中心に、奥能登の物件を1,000件以上取り扱う創業18年の不動産専門会社。
お付き合いいただくのは、能登不動産の玉地さんと、舟場さんです。
能登不動産の玉地さん(左)、舟場さん(右)。玉地さんはアーチェリーの猛者、舟場さんは二級建築士さん。丁寧に物件案内をしてくださる、素敵なお二人です。
奥能登の物件のコト
能登定住)能登不動産は、能登町、珠洲市の物件を主に扱われていらっしゃいますね。
玉地さん)はい。能登町と珠洲市の物件を、空き家バンクと連携させて管理しています。移住希望者さんからの問い合わせだけでなく、セカンドハウスとして利用したいという問い合わせも、ここ最近多くなってきましたね。
能登定住)私たちも日々お世話になっております、ありがとうございます!さっそくですが、奥能登の物件の特徴について教えてください。
玉地さん)奥能登の家の特徴は、里山の家は大きくこじんまりした家が少ないこと。海側の家は限られた土地に立地しているため、間取りに工夫があって「なるほど」と思う作りが楽しいこと、でしょうか。賃貸では、ここ最近アパートが増えてきてました、人気が高いので空き部屋は少なめです。
能登定住)奥能登の相場はどうでしょう?
玉地さん)一戸建ての売買物件はピンキリですが、築年数が古いものは数十万円くらいから、新しいもので設備が新しいものだと数百万円程度でしょうか。
一戸建ての賃貸なら、4万円前後ほど、アパートは新しい物件ですと5万円から、という感じです。
舟場さん)売買物件でも賃貸でお出しできる場合がありますし、それ以外も交渉できる部分があるので、気になる物件があれば、まずはお問い合わせ、ですね。
奥能登の一軒家、すぐ住めるわけじゃないコト
能登定住)奥能登の物件を検討されるときに、注意することはありますか?
舟場さん)都市部の物件は、清掃済み、設備点検済みで「すぐ住める」状態で案内されますが、奥能登の家は「すぐ住める」状態のものが少ないです。
玉地さん)奥能登の物件は、住んでいた方の家財道具が残された状態のまま、案内することが多くあります。そのままでお引渡し、ということも。また、建築物としてのインスペクション(性能調査)がない、設備の保証がない、古い家の場合は下水道の整備が必要、など、住めるようになるまで時間と費用がかかることを、ご理解いただいてから物件の紹介をするようにしています。
能登定住)普通だったら、「大家さん」または「売主」側の負担で処分なり、修繕をすると思いますが。
舟場さん)空き物件=誰も住まなくなった家、なんです。住んでた方のご家族、ご親戚はいらっしゃいますが、かかる費用を負担できない場合も。このような物件の場合には、購入者または借主さんの負担が多くなることを考慮して、物件の価格を抑えてお出ししてるんです。
能登定住)田舎の家がすごく安く出ているのには、そういう理由もあってのことなんですね。
舟場さん)日本では建築物に対する価値は、古くなればなるほど評価されないのですけれど、奥能登の家はどれも良い木材が使われていること、能登の厳しい自然でも歪みなくしっかりしている家も多く、建物としては大変丈夫なんです。それを考えれば、住むまでの費用がかかるとしても、奥能登の家の価格は破格と言えるんですよ。
能登定住)ただ、地元のどの業者さんに修繕や家財道具の処分をお願いしていいか分からない、適正価格なのか、など不安もあるのではないかと。
舟場さん)能登不動産が、業者さんのご紹介、お見積りの確認、現地確認など、お手伝いします。転居後も、困ったことがあれば対応いたしますので、不安にいもうことがあればなんでもご相談ください。また、移住者さんの場合は利用できる「助成金・補助金」のご案内もいたします。これらは事前申請が基本となるので、移住コーディネーターさんと一緒に申請書類などの準備もお手伝いしていますので、ご安心くださいね。
奥能登の一軒家、ファミリーヒストリーなコト
能登定住)ところで、「あの家空き家なのに、空き家バンクに登録されてないな」という家が良くあります、すべての空き家が空き家バンクに登録されているわけではないのですね。
玉地さん)奥能登では、家と土地、先祖と親族が強く結びついていて、誰も住まなくなったからと言って、すぐ手放すことはないんです。空き家になる、ということは、住んでいた方がお亡くなりになり、仏様になったということ。奥能登の仏壇は大変立派で、お墓も家の近くにあって、年忌法要など仏事を家で行いますので、空き家になってもすぐに手放す、とはならないんです。奥能登の人たちがご先祖様と家と土地を大事にしているという、表れでもありますね。
舟場さん)物件紹介では、どのような方のお宅だったか、ファミリーヒストリーも一緒にご紹介しています。集落でどのような役割の人たちだったのか、どのように住まわれていたのか、知っておくと実際の住まい方のイメージも掴みやすいかなと。
能登定住)奥能登の物件探しが、その地域の人と文化を知る一つのきっかけなっているのは面白いですね。
玉地さん)家の歴史、ということとはちょっと違うかもしれませんが、田舎に住まうということは、集落互助関係の一員になるということも理解いただきたいと思います。過疎の問題もあって、高齢化が進んで人も少なくなっている地域では特に、集落の祭礼、除草作業など人手が必要です。年に数回のことなので、できるだけ参加いただけたら嬉しいです。