情報誌「MyPage」バックナンバー
▼参加団体紹介
NPO法人
加賀白山ようござった

代表者/水原 保
白山市白山町レ-122-1 〒920-2115
TEL 0761-92-5510
URL http://www9.plala.or.jp/npokagahakusan/
観光ボランティアが元気だ。全国で約800もの団体が活動しているという。ボランティアだからビジネスとは無縁と思っていたら、「加賀白山ようござった」の休憩所「おはぎ屋」は賑わっていると聞いた。

MyPage19号に掲載(2007年3月発行)

 白山麓の観光ボランティアガイドは2000年頃から始まっている。当時は合併前で、白山麓1町5村による観光連合体「白山連峰合衆国」をつくっていた。従来の名所旧跡を駆け足で見て回る旅への反省が言われ始めた時期で、「合衆国」では地元の人が案内役を務め、地元の人と語らい、郷土食や伝統工芸などに触れる「白山麓を巡る小さな旅」を企画した。この実験的なツアーは3年間で30回も行われ、関係者に手応えを感じさせた。この時の観光ボランティアガイドが「加賀白山ようござった」の母体となり、小さな旅の経験が白山麓のツーリズムの原型となった。

古民家を活用した
「いっぷく処おはぎ屋」
 「加賀白山ようござった」を2002年に設立、2003年にNPO法人となり、2004年には北陸鉄道「加賀一の宮」駅舎の待合所に事務所を兼ねた観光案内所を開設した。無人駅をNPOが白山観光の玄関口として活用するもので、県のコミュニティビジネス創出支援事業の助成を受けている。自己実現としてのボランティア活動に加え、観光ボランティアガイドによる地域づくりをコミュニティビジネスとして捉えていたことが分かる。今年は春夏の観光プログラムとして「鳥越・一向一揆ウォーク」など11ものコースを用意している。観光ボランティアガイドの要請も増え、多いときは一日に7団体も案内するまでになった。こうして地元から信頼されるようになり、その結果、「いっぷく処おはぎ屋」の運営も任された。
 「いっぷく処おはぎ屋」は白山比盗_社の表参道にある築80年を越える古民家で、2006年8月に約20年振りに無料休憩所として営業を再開した。地元企業10社でつくる「しらやまさん表参道振興事業協同組合」が神社から借り受け、加賀白山ようござったが運営している。店内では白山麓の特産品が売られ、畳の間ではお茶が出され、自慢のどぶろくもある。
 事務局長の辻貴弘さんによると、平日は200から300人が来店し、休日はその3倍にもなるという。新名所としてすっかり定着した感がある。

「おはぎ屋」店内
 「おはぎ屋」をツアーの集合場所にするケースが増え、地元の人がこれまであまり意識していなかった観光客の存在に気づき、活動を理解させる波及効果も出てきた。ボランティアが観光客を呼び集め、観光客が白山麓を歩き回り、地域産品を買っていく。その流れや動きが見えるようになった。

「おはぎ屋」の日本庭園は、
いしかわ緑のまち基金で整備、
表参道の修景に貢献している
 おはぎ屋の横に日本庭園を造ったり、「ワンデイシェフ」のイベントで冬の閑散期も集客を図るなど、加賀白山ようござったは民間の地域づくり団体らしいアイディアで施設の魅力アップに努めている。
 課題もある。"収益"部門のおはぎ屋と"非収益"部門の観光ボランティアガイドとの間で、スタッフの意識差が出てきたことだ。そこで2007年度からはおはぎ屋のスタッフは「しらやまさん表参道振興事業協同組合」が雇用し、「加賀白山ようござった」は観光ボランティアガイド部門に専念することにした。組織の分化が活動にどのように影響するか、これからを注目したい。

vol.19 「団体紹介」へつづく

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