▼参加団体紹介
NPO法人
おとぎの杜
代表者/出口 威
金沢市南新保町ハ41番地4
〒920-0064
TEL 076-237-5773
URL
d-t-r-s@mail.bbexcite.jp
里山保全の活動はその地域の人たちを中心に行うことが多い。ところが「おとぎの杜」は"まちの住民"が金沢南西の「高尾」と北東の「岩出」に出掛けて竹林整備を行っているという。代表の出口さんに聞いた。
MyPage19号に掲載
(2007年3月発行)
おとぎの杜は2004年末に出口さんが代表となって設立したNPO法人である。里山保全を目標に掲げているが、設立前に出口さんがそのような活動をしていたわけではない。活動を始めてから野良仕事を覚えた。
出口さんはJR西日本を定年退職し、求職活動中に県の「創業支援実践研修・仕事おこし講座」を受講した。2004年春のことである。この3ヶ月の研修でNPOというものを知り、出口さんはNPOを立ち上げ、仕事おこしをすることを思い立った。社会問題に取り組むことに興味があったし、土いじりは好きだから、これなら自分にも出来ると考えた。早速、同期の研修生に呼びかけ、会員になってもらい、その夏には会員16人の団体が結成されていた。
岩出での活動に集まった多様なメンバー
1年目は高尾で竹林整備と休耕田を家庭菜園として活用する活動を行った。このNPOの理事が所有する竹林と休耕田を借りた。竹林整備では竹炭を焼くことを覚えた。休耕田には11区画の家庭菜園ができた。地元の人たちが家庭菜園の活動を何事が始まったのかと遠巻きに見ていたので、次の年には収穫祭と銘打って、地域住民と一緒に収穫作業を行った。公園で食事会も開き、30名近くの住民が参加した。
2年目(2006年)は岩出で同様の活動を展開した。こちらは「金沢ゆめまちづくり活動支援事業」にエントリーし、18万円の助成金を得た。前年も同支援事業にエントリーしているが、このときは落選している。いわば雪辱を果たしたわけだ。
その勝因は、活動地域の岩出と高尾が開通したばかりの山側環状線で結ばれているというタイムリーな話題性もあったが、それ以上に、里山地域の新旧住民の交流に、竹林や休耕田という里山固有の資源を活用する視点が評価されたのではないか、と出口さんは分析している。
実際のところ2年目の活動にはいろいろな人たちが関わりを持ち、広がりを見せている。金沢工業大学の学生が竹林の伐採や休耕田の除草、耕作などを手伝った。ボランティア大学校修了生のグループ「あすなろ12」もおとぎの杜の団体会員になり竹林や休耕田で汗を流した。休耕田の菜園で栽培した"お化けカボチャ"を岩出にある県立医王養護学校の文化祭に展示し、また、幼稚園のハロウィンパーティーに持っていきこどもに喜ばれた。
2007年3月からは岩出の休耕田でビオトープ造成に着手した。ビオトープには県の絶滅危惧植物ミズアオイを植え、増やしていく。この活動に北陸労働金庫の助成金10万円が付いた。岩出町の町会婦人部との連携もビオトープづくりを契機に始まっている。
休耕田で草刈り
おとぎの杜の会員であり、休耕田を提供している岩出町の塚田さんは、岩出の活動を振り返り、「これが現代のおとぎ話のように、広く伝わって、山里がまた開かれたものになっていったらいいな」と述べている。
vol.19 「団体紹介」へつづく
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