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▼研究会・フォーラム開催記-02
 半島地域づくりフォーラムin能登
概要
 平成19年2月24日〜25日に半島地域づくりフォーラムin能登(国土交通省主催、石川県協力)が開催された。24日(土)は、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町の4市町でフィールドワークを実施。25日(日)は、珠洲市のラポルトすずを会場に、民俗研究家の結城登美雄氏による基調講演、渡島、能登、幡多の半島各地からの事例報告と、NPO法人樹木環境ネットワーク理事長の渋澤寿一氏をコーディネーターにパネルディスカッションが開催された。

フィールドワーク
24日に実施されたフィールドワークは、各市町ごとに、異なるテーマを設定して実施された。各フィールドワークサイトのテーマは、以下のとおり。
  1-輪島市サイト 『これまでの観光地、これからの観光地』〜ユニバーサルデザインの観光地を考える
  2-珠洲市サイト 『ごみを宝に変える』海洋漂着物対策と集落の活性化を考える
  3-穴水町サイト 『まちなか再生』「まちづくり意識」の高めかたを考える
  4-能登町サイト 『Uターン・Iターン者の集い』半島らしいライフスタイルを探る

1-輪島市サイト
 輪島市、珠洲市の社会福祉協議会から提供を受けた高齢者疑似体験セットを参加者が装着して、地元、輪島市からの参加者を介護者に、ふらっと訪夢からわいち通り、朝市通りにいたる街なか散策を体験した。参加者のほとんどが、疑似体験セットを装着するのが初めてということで、思ったよりもずっとハードな体験であったという感想が寄せられた。
 このフィールドワークの結果、普段は何気なく歩いている輪島市中心街であるが、実は全国でも自慢できるほど、バリアフリー化が進んでいるということが、外部からの参加者の評価により、地元参加者の認識を改めることとなり、朝市だけでない、街なか観光のアピールについて新たな視点をもたらすことになった。

3-穴水町サイト
 参加者による穴水町の中心市街地ウォッチングが実施され、昭和レトロを感じさせるモルタル塗りの店舗や、米国人天文学者:パーシバル・ローエルの上陸地点などを巡った。
 穴水町商工会会議室を会場に、ファシリテーターの渡辺均氏[(財)日本システム開発研究所)]による中心市街地活性化の取組に関する全国動向に関するキーノートスピーチの後に、「穴水まちなか再生の現状を知る」と題して、泊昌司氏(穴水町産業建設課)、吉村扶佐司氏(穴水町商店振興会長)、加藤真氏(穴水町街中活性化委員長)、谷内和雄氏(穴水町街中活性化委員)の各氏からの報告を受けて、参加者によるフリーディスカッションが行われ、女性と子どもの参加を促す企画の重要性なども指摘された。

2-珠洲市サイト
 「ビーチごーみんぐ」と称した海洋漂着物を実際に観察するプログラムのほか、平成18年度半島らしい暮らし・産業創生調査への参加団体である片岩集落のメンバーで構成される「海洋漂着物活用のエコ集落」の代表、丹保俊彦氏による活動報告、ファシリテーターの木下明氏[(財)日本システム開発研究所]による海洋漂着物対策をめぐる全国動向等の報告の後、参加者によるディスカッションが行われた。
 参加者からは、各半島に共通する固有の課題として、海洋漂着物対策をもっと重視することが必要であり、そのためには各半島で活動する組織・グループがもっとネットワークを強くすることが必要であるという認識が共有化された。

4-能登町サイト
 セミナーハウスやまびこを会場に、松尾広和氏(輪島市在住、栗農家)、萩野紀一郎(輪島市在住、建築家)、渡邊徹氏(七尾市在住、カヌーインストラクター)、水口咲氏(輪島市在住、漆芸家)の4名のIターン者をゲストに招き、ラジオななおのパーソナリティである桜井保子氏を進行役に、何故、能登を移住先に選んだのか、地域にとけ込む秘訣などについて、会場からのゲストへの質問参加も交えながら、トークショーが行われた。
 Iターン者の各氏からは、「仕事が無い」というのは地域の資源をきちんと評価していないためであり、仕事は自ら創り出せる。大きなことをはじめるのではなく身の丈のことを、人と人のネットワークを活かしながら、ゆっくりと進めることが重要で、そのことで自ずと地域の人々からの評価が後からついてくるものであるという意見が出された。

vol.19 「交流とネットワーク」全国研修交流会へつづく

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