情報誌「MyPage」バックナンバー
▼研究会・フォーラム開催記-01
<コミュニティビジネス研究会>

「キッチンがつなぐ まちなか・うみやま・ひとびと」
開催日/平成19年3月21日
会 場/くつろぎ処「麺の華」(七尾市)

地域づくり団体のメンバー等25名が参加、3つの事例報告をいただき、意見交換を行いました。

1.白山市「おはぎ屋」・・・・・<辻 貴弘>
 NPO法人加賀白山ようござったの事務局長をしている。現在は「おはぎ屋」に事務所を置き、物販などもしながら観光ガイドの活動を柱として38名が参加。活動資金は県や市からの事業委託が大きい。ボランティアガイドやコンサート・どぶろくづくりの仕掛け・委託販売の請負・地域づくり団体の立ち上げの手助けなど色々と活動している。
 その1つがどぶろく作り。醸造業が続く地域の歴史を背景にどぶろくを作り、「また鶴来に来たくなる」ための仕掛けをしファンを作った。何千人も来ることを目指す必要はなく1日に150人くらいが訪れ、一人2,000円〜3,000円使ってくれればそれで鶴来は元気になる。
 商店街の人達が「町を歩いている知らない人が増えた」と実感している。知らないお店も2度目になるとお店の敷居をまたぎやすくなる。我々がガイドすることで初来店のきっかけをつくることが活動の一番の趣旨。
 色々な活動の中でワンデイシェフシステムを取り入れている。毎日うどんを売っているが、水曜日はワンデイシェフ。1食800円で70食〜100食が目安。店に来てくれることがなにかしら売上につながる。

2.三重県四日市「コミュニティレストランこらぼ屋」・・・・・<海山 裕之>
 こらぼ屋では、「食べる」ことをテーマにしたコミュニティづくりを狙っている。コミュニティレストランとは地域活動の拠点施設とショップ機能が合体したようなもの。ワンデイシェフシステムとは、市民がお店に登録して日替わりでランチやディナーを提供するコミュニティレストランの運営システム。収益をあげることは大事だが、皆のベクトルを同じ方に向けるためには理念が大切で、自発性・自己責任・相互支援という自立した個人が認め合い助け合える関係を作っていくという理念で関わってもらっている。
 プロではない人が年会費を納め、登録制で2週間に1度シェフをやる。ワンデイシェフの加盟店であればどこでもシェフが出来るため、地域を越えてネットワークが生まれる。

「こらぼ屋」の仕組みを説明する
海山裕之さん
 地域通貨の循環促進と、地域の将来を担う若い世代の人材育成を目的として、高校生がJマネーを使ってビジネス体験をする事業を行った。商業高校の生徒が商店街でブースを持ち、企画から商売を形に持っていくまでを半年かけて行った。するとワンデイアーティスト、ワンデイティーチャー、ワンデイプロデューサーも出てきた。この人たちのネットワークも活用してランチとのコラボレーション、場のネットワーク作りやコミュニティビジネスの苗床づくりをやっている。

3.新潟県「都岐沙羅交流サロン穂!人」・・・・・<大滝 聡>
 「都岐沙羅」とは7つの市町村で構成される地域の名称で、過疎化が深刻で合併はまだしていない。
「穂!人」は幾つかの団体が空き町屋を借り、手作りで改装したお店を共同で経営している。中心に動いているのは主婦15人。穂!人でも毎日シェフが変わっていく仕組みで動かしている。店は地元の起業家が作った物を売るという使命を持ち、店舗運営の実験の場としても提供している。日曜は休みだが、中でワンデイアーティスト的なことをしている。特技を持っている人をうまく使い、各種体験の受け入れや地域の伝統技術を伝えることもしている。また地域通貨「キサラ」もやっている。取引をすることで善意が広がっていく仕組みである。
 都岐沙羅では「元気作り支援事業」という助成事業があり、現場から申請して通ったものに予算が付くと言う制度がある。どうすれば起業家を資金面から支えられる地域全体の仕組みができるか、JAや信用金庫、会議所、商工会、行政、企業の人などに入ってもらい、地域資金システム研究会を立ち上げた。その中で信用金庫が、無担保で6年まで貸してくれる「都岐沙羅起業家応援ローン」を作ってくれた。

vol.19 「半島地域づくりフォーラムin能登」へつづく

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