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02-1 ■コミュニティビジネス ――「ワンディシェフの店」を作られたいきさつを最初にお願いします。 湯瀬●昨年、畑沢さんに、何かやりたいと思うのであれば、10月にオークションがあるから、それまでに何をやりたいか、整理しておきなさいと言われた。畑沢さんは、秋田県のコミュニティビジネス推進事業で第1号の支援を受けた人で、彼女からすすめられた。何かやりたいとは思っていたので、四日市ですでに同じようなことをやっている「こらぼ亭」をインターネットで調べて、だんだん興味がわいてきた。毎日シェフが変わるということは、毎日違う料理が食べられるということだし、面白いなと。 それと、私がやっている暮らしと結婚の相談所の事務所を構えるとしても、ただの事務所より、レストランをやっている方が気軽に入ってこれるのじゃないかなということもあった。それで、真剣に考えて、10月のオークションをむかえた。コミュニティビジネス支援のオークションが秋田であった。たまたま支援してくださる人がいらしたので、行うことになった。 ――支援者というのはどういう方ですか。 湯瀬●おてふきとか、お茶碗とか、家で眠っているようなものを提供してくださる方です。 畑沢●秋田県で、2年間コミュニティビジネス推進事業ということで、2年間チームを作って取り組んできた。その時に応募したら、第1号に認定された。 ――コミュニティビジネスの開業のための資金とかが出るのですか。 畑沢●開店のためのアドバイスを受けたり、視察に行くのに20万円ほどついた。準備のために20万円、本当に店を出すときに20万円、全部で60万円来るのでなく、40万円です。私はほとんど準備を進めていましたので、開業のために20万円をいただいた。 湯瀬●私の場合も20万円です。 畑沢●シェフを募集するつもりで、新聞社とか行ったんですけど、シェフが集まる前に、お客様がいっぱい集まった。今はシェフになって下さいと、一人ひとりお願いして回っている。 02-2 ■ワンディシェフの意義 ――一人のシェフが行う場合と、毎日違う場合とどのように違うとお考えですか。 湯瀬●一人のシェフがやる場合は、どうしても儲けに走ると思うんですね。10人の人がやる場合は、儲けの前に、まずは自分の生きがいを見出せるのではないか。 畑沢●そうなんです。わたしもケーキ屋さんを始める前に、更年期障害で涙が止まらなくなって3年間苦しんだ。それで、ちょうど主人も定年になって、手伝ってくれるというので、ケーキ屋さんを始めたら、涙も出なくなったし、心の中のもやもやもなくなって、すごく元気になってきた。そういう奥さんたちに、この店に出て欲しいと思って始めた。湯瀬さんは「早麻ライフサポートセンター」を立ち上げ、男女の結婚相談をやっています。事務所も必要だし、四日市で成功しているワンディシェフの店をやって、一人ひとりの奥様たち、女の人たちの生きがいの場にしながら、オーナーをやってくれないかと、声をかけた。今はまだシェフをやってみようという人は6、7人しかいない。 ――名乗りを上げてくださっている人はどのような方々なんですか。 湯瀬●普通の主婦の方々です。一番最初にやってくださった方も主婦ですけど、料理のコンクールとかに出て賞をもらっている人でした。料理学校に9年間通っている人とか、きりたんぽのコンクールで賞をもらった人とか、いろいろです。 ――ローテーションはどのようになっているんですか。 湯瀬●今はシェフが少ないので、シェフの都合のいい日に担当してもらっている。それ以外の日は古代米で作っためんを出している。シェフの方が都合が悪くても料理を作ったものを置いていくから、こういうふうにして出してくださいということもある。シェフがいなくても、お客様に御迷惑をかけないように、毎日違う献立を出すようにしている。 02-3 ■試行錯誤 ――畑沢さんが作られたケーキはこの店でも出てくるのですね。 畑沢●ケーキセットということでメニューに入っていますし、19日にはケーキバイキングをやっている。食べ放題1000円でお土産つき。子どもは300円です。前回は合計53名のお客様にお越しいただいた。このお店でお客様が一番多かったのは開店の時で、60人くらい。 湯瀬●何がなんだか分からないうちに終わった。 畑沢●最初に12,000円の入会金を設定したのが失敗でしたね。少しでも運営が楽になればと考えたのですが、主婦の方が12,000円を出して参加するのは難しいみたいです。 ――それはどうされるんですか。 畑沢●お試しということで、参加費をいただかずに、試しにやっていただくことにしています。大学の先生とも知り合いになったので、学生さんたちに学習の場として協力いただくことをお願いにいくつもりです。一人ひとりにお願いに歩いて、地道にやっていこうと思う。コミュニティビジネスを始めて3年になるんですけど、まだまだこれからです。 ――畑沢さんのビジネスはどれくらい売上があるんですか。 畑沢●最初は320万円。昨年が440万円。テレビ局が30分番組を作ってくれたんです。1月29日に放映された。彼女の方も2月8日開店だったので、手伝いたかったんだけど、テレビで放映されたらすごい反響で、1日に60個も注文があって大変だった。1個が1,300円なので、皆さんに買っていただける。 ――それは注文して、作っていただいて、お客さんが取りに行くんですか。 畑沢●主人が配達しています。それと、7日市というイベントに出店して販売しています。 ――将来は、商店街の空き店舗に店を出すとか、そのようなお考えはあるんですか。 畑沢●それは無いです。歳だし、誰か私の後を継いでくれる人がいればと思っています。 湯瀬●ここで売ってもらおうかなと思っています。 畑沢●もう少し落ち着けば、持ってこれる。 ――アーケード街の「ギャラリー濱」の女将さんは、近くに年配の方が多いので、惣菜が買えるところや、食事ができるところがあれば、という話をされていました。本当はアーケード街の一角にあるといいのでしょうけどね。 畑沢●あの辺りで探したのですが、家賃が高かったんですよ。 ――ここはいくらですか。 湯瀬●ここは5万円です。 02-4 ■ネットワークを広げる ――そこの差額をなんとか出せれば、可能になります。 畑沢●ここでも歩いて来れますよ。自分たちも車で店の前まで行く生活に慣れていたけど、ここの店を利用するようになって、駐車場に車を置いて、歩くようになると、昔を思い出す。 ――湯瀬さんは起業をする人を育てるというお考えはあるんでしょうか。 湯瀬●あります。でも、今は自分が育っている最中なので、それが軌道に乗ったら、考えようとは思っていますけど、今は畑沢さんが私を育てていますので。 畑沢●私は講演で、私のケーキレシピを全部教えるから、能代とか大曲とか秋田でやって下さいと話しています。KIMIKOのケーキ2号店として開業していただくことを期待しています。 ――湯瀬さんの、ライフサポートの事業は高齢者のホームヘルプサービスということですか。 湯瀬:そこは今は休業中状態です。結婚相談所が忙しくなっています。3月11日に出会いのパーティを行います。市の広報で紹介されたので、問い合わせもたくさん来ています。■
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vol.18 「交流とネットワーク」全国研修交流会へつづく | |
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