情報誌「MyPage」バックナンバー
▼参加団体紹介
とんと昔の会
代表者/水野 勉
担当者/干場 四十美
鳳珠郡能登町字黒川26-10
〒928-0333
TEL&FAX 0768-76-0226
 地域に古くから伝わる民話を通して、地元の子ども達や観光客等に能登半島の魅力を語り伝えようと活動中。
 町のイベントや地域からの要請により、民話の出前口演を行っている。

MyPage17号に掲載(2005年11月発行)

能登が舞台の昔話
 「とんと昔のことやった」。これは能登の昔話が始まるときの語り始めの言葉。遠い遠い昔が「とんと昔」に言い換えられると、ずいぶん響きが温かになる。
 とんと昔の会は活動開始から2年半。平成14年度に4〜5回にわたって開催した「かたりすと養成講座」が今日の活動のはじまりになった。柳田を中心に珠洲、輪島からも集まった参加者から予想以上の反響があり、「良い活動だったから、これっきりでは勿体無い。グループを作って活動を続けていきたい」と話が持ち上がった。
 事務局は当時の当目公民館から、その後の市町村合併による公民館統合で、現在は岩井戸公民館が担っている。

当目地区は
猿鬼伝説の里。
猿鬼が住んだという
谷川べりの洞が残っている。
 メンバーは現在10数名。メンバーの中にはまだ“デビュー”前の方もいるので、実際に語れるのは7人くらい。中心メンバーの一人、谷坊さんは30話くらい話せるという。谷坊さんは輪島の町野出身なので、その辺りの話も多い。全体の素材としては、中瀬精一さんの著書「柳田の昔話」からの話が多い。「子捨て谷」「雷の婿」など、能登が舞台になっている昔話がいくつもある。

民話を語れる人材を養成する活動も。
昔語りのアーカイブも視野に
 名人の芸には味があるので、録音して残していくことも大切かもしれない。メンバーに限らず、地域のお年寄りの方にかろうじて残っている微妙な言い回しなどは、記録に残していかないと時間とともに無くなってしまうものなので、後で研究しようと思っても、発掘の方法が無い。能登には昔語りができる人がたくさんいたということを残していき、「能登は話芸が連綿と続いている地域である」とアピールをしていくことにも意義がある。

全国大会の分科会では、
民話を通して
地域づくりを語った。
 月に2回、第1・3日曜に他のグループとも協力しながら能登の民話を語る活動を行っている。今後は、昔話を聞いていただくための別の方法も考えたいと思っている。予約しておくと昔話が聞ける館などが用意できると良い。懐かしい雰囲気の空間で、囲炉裏があるような場所を探していきたい。
 ただ現実的には、昔語りができるメンバーには高齢者が多く、自分で車を運転して気軽に出前に行ったりできないところがネックで、そうした問題の解決も必要になっている。

地域の資源を語り伝えていきたい
 今は、出前口演として小学校や児童センター、お年寄り向けのお楽しみ会などに出向いて活動しており、昨年1年間では40回を超す口演を行った。謝金の半分は、語りをしたメンバー個人に渡るようにしている。純粋ボランティアではないことが、継続的に活動しつづけるためにも重要だと考えている。メンバー自身が、「お金を貰ってるからには、聞く人を楽しませなきゃ」と思う効果もある。

能登空港で旅行者に
民話を語る。
 将来的には、能登町の子どもは民話を語れるという風になると面白い。地域との関わりも深くなるし、古いものも残せる。その子が能登から外に出ていったときにも、自分の出身地域に誇れるものを持っていて欲しい。
 また、今は民話を語ることが中心になっているが、将来的には少しテーマを広げていければよい。昔話だけでなく、能登のさまざまな特長について語るプログラムを用意していくことにも意義がある。能登の森の話、魚や漁の話、海の生態系やクジラの話なども語れる人材がいるので、その情報を整理して登録していき、要望に応じて派遣するなど、徐々に商品化していければよいのではないか。

vol.17 「団体紹介」へつづく

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