金木犀が咲いたら

写真:コケづくし!!幸せ。。。(@能登町かじ旅館)

2020年10月、霜降

能登の秋の楽しみ、みんな大好き「キノコ」。
「金木犀が咲けばコケが出る」とは、能登の言葉。
最初に出るのは、シバタケ(だったはず)。「金木犀咲いたしそろそろやな」と、みな気もそぞろです。

能登の山のコケは、たくさんの種類があります。
シバタケ、コッサカブリ、サマツ、シモオコシ、コノミタケ、ジコウ、アズキゴケ、イッポンシメジ、ナメコ、ヒラタケ、などなどなど。

中でも「コノミタケ」は、採った、食べたと聞けば皆が「ええなぁ」と唸る羨望の的のコケ。
全国でも能登地方に多く分布しているキノコだそうで、能登に来ないと食べられない貴重な、そして高級なコケ。私もこちらに来て初めて聞いて食べたキノコですが、コノミタケの炊き込みご飯は、シーズンに一度は食べたい味となりました。

そして、コケ山情報は、家族の間でもトップシークレット。
おやじが死ぬときですら教えてくれなかったなんていうのは、定番のブラックジョーク。
能登の人にとって、コケは自分の山の資産であり、季節の大事な楽しみなのです。

能登の人がどれだけコケを大事にしているか良く分かるお話を。
自分の山で県外ナンバーの人が無断でコケ採りをしていたのを見つけたおじいちゃん、「ウチの山でコケ採りするなら、竹カゴを持って入ってくれ、そしてみつけたコケは一株残して採るように」と注意したのだそう。採ったコケをビニール袋でなく竹カゴに入れて歩けば、コケの菌が撒かれて来年新しいコケが生えてくるから、一株残すのも同じ理由。採ること自体ももちろん注意したそうですが、採るならコケ保全に配慮して採って欲しいっていう、ことなんです。

どこかに書いてあるわけではないけれど、次の世代もその次の世代も楽しめるように守ってきたルールがあるんです。

もしどっかに行こうと思っているなら、秋は能登にコケを楽しみに来てみてはいかがでしょう。
おじちゃん、おばちゃんたちの「コケの武勇伝」は、ちょっとしたトリビアものですよ。

※コケ=キノコのこと
※所有者に断りなく山に入りキノコ狩りをすることは、犯罪に問われる場合があります
※素人のキノコ狩りは食中毒の恐れが大きいため、JA直売所などで購入することをお勧めします