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こだわりのとうふ [長江屋豆富店]
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■2007年の節分におとうふ屋を開店 2007年2月3日に、八尾の諏訪町通りに開店しました。ひたすらこだわったおとうふで皆さんに喜んでいただこうと、夫婦二人で頑張っています。 元々は八尾の上新町の生まれですが、東京でサラリーマンをしていました。お店のオープン前年に、55歳の早期退職でこちらに引っ越してきて準備期間に入り、とうふの素材である大豆にちなんで、節分の日に開店しました。 ■八尾に住みたい気持ちがふくらんで 東京にいた時分も、お盆には毎年帰ってきていました。そのうち大阪出身の家内も、「八尾は良いね」と言うようになり、漠然と「八尾に住みたい」と思うようになったんです。 そんなとき家内が雑誌を見て、「八尾にこんな良いところがあるよ」と言う。伝統構法の家が建ち、電柱も無い景観。井田川の向こうのウッドタウンが紹介されていました。最初はどこだか分からず、あるとき城ケ山の展望台から、「あそこじゃないかな。行ってみよう」と実際に訪ね、区画が空いているのを知った。そんなこんなで当時住んでいた横浜と行ったり来たりするうちに、「ここに家を建てられれば」という気持ちがふくらんでいったんです。 ■さて、仕事はどうしよう? それから家が建つまでにもいろいろあったんですが、八匠の会の島崎英雄棟梁に建てていただく願いが叶いました。 しかし、家は建つことになったけれど仕事は無い。「工芸品を扱う喫茶店でもしようか」と言っていたんですが、吉田桂介さんに相談すると、あの場所では集客が難しい。考え直しては?と言っていただきました。子どもの頃東京に行くまでは母が桂樹舎で働いていたので、吉田さんはよく存じ上げていたんです。母が東京に出たのも、芹沢_介先生に師事するためでしたので。 ■絶品のとうふに出会う 「手仕事をしなさい」とアドバイスいただき、あれこれ考えていた時、テレビで会津の山中のとうふ屋ご夫婦が紹介されていた。二人ともそれを見た途端に「これだ!」と。 「これしか無いんじゃないかな。でも、どうしたらできるだろう」と思いつつ、まずは訪ねてみたところ、そこでご馳走になったとうふが例えようも無く美味しかった。生まれて初めてのショックを受けるくらい本当に絶品。 そのお店で、「生搾り」という重大なヒントをいただいてきました。 ■試作を重ねて開店へ 2006年、再度会津へ訪問した後、自宅でとうふキットでの試作を始めました。木綿どうふはともかく、天然にがりの絹どうふは、なかなか出来なくて苦労しました。なんとか出来たら、それを店の設備で出来るようにする。と言っても、店の設備が揃ったのが12月28日でしたから、その年はもうあと29、30と大晦日しか無い。慌しい中で試運転を始めて、節分の開店まで約1ケ月。ご近所や知り合いみんなに味を見てもらって、開店にこぎつけました。 ■江戸期の手法「生搾り」のとうふ とうふは普通は煮搾りといって、水でふやかした大豆に、水を加えながら摺ってできる呉を煮た後に搾る。うちは逆に、呉を煮る前に搾って、おからと豆乳に分けます。その豆乳だけを煮ます。それが「生搾り」。時間も手間もすごくかかる。搾るだけで2時間くらいかかるんです。 製造時間がどうしても長い製法なので、「この店、何時から始めるの?」って、前で待ってる方もいらっしゃいました。朝4時半に店に来て、設備や道具の熱湯消毒などを行い、食事を挟んでとうふ作りにとりかかるのが、実質6時。それでも11時の開店にやっとぎりぎりというくらい時間が掛かるんです。 ■自慢の「絹どうふ」をまずは味わって 原料になる素材は、まず富山県内産の大豆。そして奥能登塩田村の天然にがり。油は会津で紹介していただいた、手絞りの貴重な菜種油を使っています。うちのとうふは濃いですよ。 まず試しにどれか召し上がっていただくとすれば、絹どうふ。溶ろけるように滑らかなキメで、自慢の味わいになっています。生搾りで、天然にがりと大豆だけの絹どうふは、全国探しても、恐らくそうそう無いと思います。というのは、固めるのが非常に難しい。できてもすごく柔らかくて形にならなかったり。 ■数量限定、稀少な「絹揚げ」 それと、その絹どうふを揚げた「絹揚げ」もオススメ。香ばしいのに中がクリームみたいに柔らかくて、ババロアみたいな食感。食べた人は必ず「ハマる」っていうものです。ただでさえ水分をかなり含んで柔らかい絹を揚げるのが、また難しい。試行錯誤の結果、ようやくできるようになりましたが、量が少ないんですよ。1時間揚げていても、10個程しか出来ない。だから、店頭販売だけに限定させてもらっています。 ■喜んでいただけるとうふ屋を目指して 発送による販売もしていますが、量が増えるとどうかな。何しろ手間のかかる製法なので、「品物がご希望の日に揃わないこともあります」と、予めお断りしています。 とうふ、揚げのほか、豆乳も売っています。とうふの生搾りのお蔭で、アクの無いすっきりした味の豆乳ができます。お買い上げいただいた方が「ここで飲んで行きます」と言われることがあるので、紙コップをご用意していますが、一杯売りはありません。観光の方にはそうしたご希望があるかと思いますが、今はまだ手が足りない状態なので。 とうふ屋で行こうと決めた時、吉田桂介さんにお話しすると、「とうふ屋かぁ。いけるかもしれんなぁ」と言っていただいたのを覚えています。その店がようやく形になりました。時間と手間のかかる非効率なとうふづくりですが、美味しくて健康的なとうふを皆さんにお届けできたらと思っています。 |
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