情報誌「MyPage」バックナンバー
▼参加団体紹介
地域内外の交流を重ね、
地域を再評価する

西尾グリーン・ツーリズム研究会
(旧・西尾ふきのとう塾)
代表者 : 濱田みちる
小松市沢町ヘ59-1 〒923-0165
TEL 0761-41-1830

MyPage12号に掲載(2003年3月発行)


春の作業に集まったボランティアや地元住民。ある参加者が"市長サロン"でこの桜のことを市長に報告、それをきっかけに3万円の肥料代が予算化された。

西尾野菜市
 小松の中心部から車で約30分、山間のまちが西尾地区である。人口約750、世帯数250戸くらい。地区内に尾小屋鉱山資料館や大倉岳高原スキー場がある。自然に恵まれているが、高齢化と過疎化も進んでいる。
 西尾は最近、西尾野菜市で知られるようになってきた。5月、8月、11月に各2日間、西尾の人たちが西尾の産品を持ち寄って市を立てる。登録会員は60名だが、毎回20名くらいが出店。小松市内や近郊の町から多くの人が集まる。今年で6年目になる。

 また、西尾小学校が校区外からも生徒を受け入れる特認校になり、町の子が通学していることでも、西尾は注目を集めている。このような都市住民と西尾の交流が生まれるには、いくつかのきっかけがあった。地元企業コマニーのCD研究室(※)が西尾を研究テーマにしたこともそのひとつである。
※コマニーのCD研究室は組織改編により、現在は総合デザイン研究室となっている。

ワークショップを通じて
 同研究室は1995年から"西尾通い"を始めた。96年と97年は西尾をフィールドに、ワークショップin小松という住民参加のワークショップを開催。西尾地区に町の人を送り込み、西尾の宝物探しを行うことで、西尾の人たちに地域の魅力を再認識させることを試みた。そこから住民グループ「西尾グリーンツーリズム研究会」が誕生し、彼らの発案で、西尾野菜市が始まった。外からの刺激が地域に内在するエネルギーを引き出した好例となった。
 西尾ふきのとう塾の代表者、濱田みちるさんも、この一連の交流活動に携わってきたメンバーのひとりである。西尾の環境に魅せられて8年前に一家で転居。地元に溶け込むため、地区の行事に参加するうちに、地域づくり活動を始めるようになった。


春の草刈のときに、「うちかた」を手伝った松岡と沢のおばあちゃん。おいしいおむすびなどをつくって振舞った。
 西尾ふきのとう塾は、昨年は野菜市に出店する以外に目立った活動をできなかった。わら細工教室などを開いたが、参加者はこどもばかり。親世代の参加は先生役の人だけで、世代間交流にならない。この活動は必要とされていないのでは、との思いもあり、やや停滞気味だが、今年は西尾小学校の課外活動やPTAの元気が良いので、新たな展開が期待できる。地元陶芸家の指導で野焼き教室を計画中だ。


小松市松岡町にある推定樹齢60年のしだれ桜。健康状態は良好とのこと。

しだれ桜
 一方、西尾グリーンツーリズム研究会のメンバーとしての濱田さんは、新たな活動として、西尾地区の松岡町にあるしだれ桜の保護に取り組んでいる。樹齢60年、県内最大級のしだれ桜である。寺井町の樹木医、立花武志さんの指導を受けながら、春と秋に草刈や施肥を行っている。濱田さんが立花さんの園芸講座に参加し、そこで知り合った町外の園芸愛好家に呼びかけ、この活動は始まった。

 桜を見慣れている地元の人は何事かと思ったが、立派な桜だと聞かされ、今年は町内の人たちも作業に参加した。それが新聞報道され、桜が満開になった週末には、20台ほどの車が列をなすほどにぎわった。新聞に拠ると、近くのお年寄りが「地元の宝や」と目を細めた、とある。外から刺激を与える手法を、ここでは濱田さんが実践し、成果をあげた。
 「いろいろ新しいことが始まって、西尾が楽しくなってきたから、このまま住んでようかな」と言ってくれる人も現れてきた。それが濱田さんには何よりも励みになる。


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