情報誌「MyPage」バックナンバー
▼参加団体紹介
環境づくりがまちづくり
安宅まちづくり21 
代表者/会長:沖本浩三 
小松市安宅町乙66 〒923-0003
TEL 0761-24-4170

 安宅まちづくり21では、平成8年から桜の苗木の植樹を行っている。10年間で1000本を目標にしてきた。安宅だから義経千本桜にちなんでのこと。今年も春先に9年目の植樹を終えた。安宅まちづくり21の代表、沖本浩三さんの案内で、桜を見てきた。

MyPage12号に掲載(2003年3月発行)

桜を植え続ける
 場所は安宅海岸の松林(国有林)である。防風林の中を走る500メートルのサイクリングロードに沿って、桜が植えられていた。9年目ともなると、ちらほら咲いている木や、3メートルくらいに伸びたものもあるが、ほとんどが背丈くらいの若木である。
 近づいて見ると、一本ずつに植樹した人の名札が付けられている。安宅中学校の運動部の名前もある。環境教育の一環として部活単位で参加してくれるのだという。


安宅まちづくり21でつくっている桜並木。サイクリングロードの両側に植えられている。

植えられた桜には、名札がつけられている。
自分で植えた木であることを実感でき、
「マイツリー」として、
大切に育てる気持ちになるという。

 サイクリングロードをしばらく歩いた。砂地では桜が育ちにくいので、山土を運んでから植えること。桜の育ち方にばらつきがあること。いたずらで抜かれることもあったが、名札をつけてからは被害が減ったこと。桜は11種類も植えられ、開花時期をずらしていること。桜の苗木は県の事業「健民桜名所づくり」を利用し、無料で提供を受けていること。沖本さんの話を聞きながら歩いた。
 ずっと桜が植えられていた。9年間の活動の厚みを知った。5年もすれば、小松で有数の桜並木になり、10年後にはサイクリングロードが花見客でいっぱいになるに違いないと思った。

 桜の植樹は思いつきで始めたものではない。いや、思いつきで始めたものであっても良い。見落としていけないのは、そこには綿密に練られた計画があることだ。桜の育成には手間は掛かるが、害虫駆除、施肥、下草刈りなど、これから必要になる維持費について、同団体では石川森林管理署とすでに協議を行い、周到に準備している。

住民の意見を反映させた事業提案
 安宅まちづくり21は平成6年に結成された。安宅には安宅関、北前船主の屋敷、梯川、安宅海岸、小松空港など、小松を代表する史跡、施設、自然がある。ところが、ベッドタウンとなり、都市化の悪い面が目立ってきた。安宅の町に住民の連帯感や地域の活力を取り戻すため、地域の壮年層を中心にグループがつくられた。
 結成まもなく、地域開発などの公共事業に住民の意見を反映させるため、2500世帯を対象に住民アンケート調査を行った。回収率は75%に上った。
 観光開発よりも安宅の自然資源を大切にして欲しい、道路整備は町内に車が入り込まない安全な計画にして欲しいなど、住民の意向が明らかになった。これを元に小松市に都市計画の提案を行った。


米谷邸跡地にできたポケットパーク。
安宅まちづくり21の提言が実った。

梯川の河口にあり、散歩コースになっている。

シンクタンクからドゥタンクへ
 設立当初は安宅町内会連合会とも軋轢があったが、一連の地道な活動により、安宅まちづくり21への理解も次第に深まり、連合会も諮問機関と位置づけた。
 北前船主米谷邸の跡地は小さな公園になっているが、住民アンケートを元に安宅まちづくり21が連合会に公園プランを答申し、それを連合会が小松市に提言して実現したものである。
 安宅まちづくり21は住民がつくった、コミュニティのシンクタンク(研究機関)であり、ドゥタンク(実行機関)である。豊かなアイディアと行動力を持っている人が地域にはたくさんいることを、安宅まちづくり21の活動は教えてくれる。



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