[ 金沢便り2007.12月 ]
最初のページの金沢便りのバックナンバーコーナーです。
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12月31日(月) 年の瀬
年の瀬とはよく言ったものである。古い年から新たな年に移り変わる境界にある時を意味しているようで面白い。海と陸が出会う場が瀬であろうから、そのようなイメージを重ねたということでしょう。そこには波が打ち寄せ、一定の広さが必要であろう。砂浜が海と陸が交わる舞台として格好の空間だ。そこには、波のラインが描かれているものである。一方、岩場も多いことから、そこでは截然と陸と海が分けられているようであり、後は上下における変化があるということかもしれない。もちろん、干潮の時には姿を現し、満潮の時には姿を消す岩もあり、そのような曖昧で両方の性格を備えた空間が瀬であろう。そのような時を過ごしているという明確な認識はないが、新たなことに手がつけられるほどのゆとりはなく、片付けることと準備に追われ、なんとなく時間が過ぎていくものである。


12月30日(日) 外国人
ジュリア・クリステヴァの著書に『外国人 我らの内なるもの』(法政大学出版局)がある。タイトルにある通り、固定的に外国人と我々をとらえるのでなく、両方の要素をすべての人間が兼ね備えていることを前提に人間を理解しようという試みである。自分自身とは、作ったり壊れたりが繰り返される境界線と他者性から出来ている。外人とは我々の中にある他者性である。結局、我々全て外人なのだ。このようなとらえ方は、「まれびと」や「異人」という概念に通じる。不安をかきたてる存在である外国人も、一面においては新たな刺激を与えくれる存在として期待され、歓迎される側面も有している。それは、自己の内部においても(それほど明確に内外があるとは言えないかもしれないが)違和感やセルフコントロールが難しいことがあり、それらといかにつきあうかが課題ともなるが、そのような葛藤があるからこそ、深く内省し、考え、成長が期待できる面もある。他人と交わることを通じて、自らの他者性に気付く、発見するということであり、そのような自己認識の場として異人交流が重要な意味があるのではなかろうか。異性であれ、異国の人であれ、異なる世代の人も、同じような機能を果たしうるし、自己の存在はそのような他者との関係の総和としてあるのだが、それは自己の中にある他者性との付き合いの蓄積でもある。


12月29日(土) ヤンバン
年末の恒例行事のようでもあるが、日赤病院近くの焼肉屋「ヤンバン」に行く。5時過ぎからスタートし6時には終了。すでに予約で満席状態であった。早くお邪魔して速やかに帰るありがたい客です。当方は、家族が揃う夏と年末ぐらいしかお邪魔しないが、毎年のように知り合いにお会いする。今年も近所の方々にお会いした。人気の店は違いますね。


ヤンバンのナンコツ

12月28日(金) まれびとピア懇話会
夜は、ホテル百万石でまれびとピア懇話会の総会があったので出かけた。「まれびと」をコンセプトにしているグループは珍しいと思うが、地域に「まれなる人」を招き、地域の人々を触発すると同時に、地域の再評価を進めようとしている集まりである。それと参加メンバーは代表も含め、よそから来た人が多い。毎年、話しているようにも思うのだが、「まれびと」との交流を図り、地域の再評価を進め、新たなプログラム開発や情報発信を進めるべきではないか。繰り返し訪れる「まれびと」と交わる舞台としての地域の魅力を高め、「まれびと」との関係構築のための新たな仕組みを創出していくべきである。その前提として必要なのは、個々のされている事業の魅力を高めることであり、本業を通じての地域の発信だ。ホテル百万石月うさぎの里御菓子城加賀藩の魅力が高まり、今九谷窯の評価が高まり、加賀を繰り返し訪れる人が増えることを期待したい。一方で、よそに出かけていくことも重要である。旅人の気持ちが分かり、地域を相対的に見つめられるためには、地域外での生活経験も大事である。そのような往復運動として「まれびと」コンセプトの深化を図っていきたいものである。


百万石のデザート

12月27日(木) 長江屋豆富店
八尾の長江屋豆富店さんからメールをいただいた。商工会の事業でお店を取材させていただき、紹介ページを作成してあった。独自にホームページを作成されたとのこと。早速、当方で作成したページ「八尾風便りWeb版」に追加。情報修正や追加がすぐ出来るところがネットの便利なところです。地域の情報を発信するサイトは速やかに更新できるような仕組みになっていないといけません。さらに、個々がページを更新し続けることが大切ですね。日記コーナーも追加していただけるとよいです。長江屋さんは諏訪町通りの諏訪社の前にありますので、今日の諏訪社を紹介することでも親近感がわくことでしょう。長江屋豆富店オリジナルページは次のアドレスです。http://www.nagaeya-tofu.com/


12月26日(水) 地域の力を集めて!
おかしなことが多い社会をどうするか。日本国全体や世界というスケールでは想像がつかなくなってしまいそうだし、成果を導き出すことは難しく感じてしまう。しかし、発想を転換すれば、地域から新たな政策形成を進め、小さな成果を積み上げることで、国政レベルの政策になることが可能でもある。地域の環境や歴史を背景に、生活者、事業者のニーズを踏まえた小さな試みからスタートして、成果を出すことに注力すべきであろう。そのような試みが地域でいろいろなジャンルで生まれることを促進すること、それが地域で仕事をしてきたものの役割だと理解した。意欲の高い人を集めてミーティングを重ね、新たな政策、事業企画を生み出す場を継続的に設けたいものである。「地域構想会議」のような場であろうか。地域の未来を構想する場であり、現場体験や議論を通じて新たな知を生み出す。多様な人が参画することで常に触発的な場になるはずだ。具体的な内容は今後深めていきたい。


12月25日(火) 「銘木」の条件
再び、小舞子の元田銘木さんにお邪魔した。ホームページを作成しアップしてから2ケ月以上経つが、ようやくgoogleでもyahooでも検索にひっかかるようになりました。「銘木 石川県」とキーワードを入れて検索すると、上位に出てきます。今日は追加でお話をうかがったが、お店や施設の看板も多く作っておられることがよく分かりました。仕事としては、一般住宅に銘木を使うお客様は少なく、店舗にカウンターや看板を納めることが多いようだ。今後も納品事例を順次ホームページにアップしていければと思う。最後に銘木の条件をうかがったが、希少価値と年輪がもたらす杢目・色の美しさが要件となるようだ。概念としては明治時代半ばに成立したようであるが、当時から茶室や料理店の建築に使われることが主であった。銘木は人が活かし方を考え抜いて建築空間に盛り込んだものが銘木となる。知恵の集積が生んだ産物とも言える。名木必ずしも銘木ならずである。


元田さん制作の美川駅にある看板

12月24日(月) 「持続可能な地域」の追求
持続可能性をかかげて地域に関わってきている。それがメインテーマであると考えているから、あらゆる場面で「持続可能性」の検討を提唱してきた。産業も、仕事も、地域活動も、福祉も、環境も、学習も、すべからく持続可能になる仕組みを念頭においたフレーム構築が必要である。従来の拡大成長路線が一旦崩壊したような感のあった日本経済であるが、バブル崩壊後の軌道修正は、相変わらず経済成長を最大の指標として政策形成が行われ、成果評価がなされている感がある。規制緩和や小さな政府路線は、あらゆる面で民営化を促進し、経済活動を活発化させ、経済の再生を促進することと歓迎されてきた。しかし、この路線も持続可能なことかと再評価してみる必要がある。オール・オア・ナッシング(all or nothing)ではなく、新たな社会フレームを構想することが必要ではないか。2大政党制で全てが解決するわけもなく、多様な価値観、選択肢の共存を追求すべきであろう。分権ということを促進するためには、中央政府の縮小と地方政府の強化が必要である。地方政府の機能の高度化は、相対的に中央政府の機能や権限の縮小となるであろうが、社会全体での政府という存在の果たすべき役割は決して小さくはならないのではないか。環境問題が深刻化している時代にあって、経済活動のコントロールはますます重要になり、多様な価値観が共存する社会の実現のためには、その調整役が重要になっていく面もある。政府(立法、行政、司法)の役割は相変わらず大きいのではないか。民営化ですべてが解決すると楽観できるほど、民間企業の倫理観は高くないと言わざるを得ない。食品業界の不正が多く報道されているが、IT、マスコミ、保険・金融、建設、電気、自動車、福祉、人材派遣など、不正の情報はきりが無い。それが日本の企業社会の現状ではないか。企業利益の追求、投資(資本)に対する利益の額で業績が評価される資本主義の原理の必然でもある。それでは、いったい誰がチェックするか。お客が厳しく企業を選ぶと同時に、社会的な規制やコントロールは必要だ。それは司法も含めての政府の役割であろう。国際政府ということも想定しないといけないのかもしれない。政府においても不正は繰り返されているが、社会システムとしての政府の役割が相対的に重要であることはたしかだ。そのことを自覚して中央政府に関わる人も地方政府に関わる人も仕事をしてほしい。そして、政府の政策形成に住民、生活者が参画する必要性がますます高まっている。


12月23日(日) 太郎
出雲からお客人がお見えになられたので、一緒に主計町(かずえまち)の「太郎」で鍋をいただく。以前、出雲でのまちづくりセミナーに参加されていた方から金曜日にメールをちょうだいした。一緒に来られる方が、中央大学の先輩とのことでしたので、余計面白いと感じた。全国に大学の同窓生は相当数いらっしゃるであろうが、接点がある人は少ない。出雲から金沢にお越しになられた方とご一緒するのも珍しいこと。数年前に、出雲で俳句をされている方々が全国大会のためにお見えになって以来であった。出雲との交流が続いていることがうれしいし、出雲での地域振興活動が深化していくことを期待しています。太郎は久しぶりであったが、女将さんも元気そうで、久しぶりに金沢の言葉をうかがえて良かったです。若女将も元気のよい人で今後が楽しみですね。


太郎で鍋をいただく

12月22日(土) 持続可能な福祉社会
個人の生活が保障されつつ、環境とも両立しうるような社会の形成が求められている。「経済成長により国民の福祉の充実を図る」というアプローチからの転換が必要であるということ。持続的な経済成長は、環境要因(地球温暖化や化学物質汚染の激化などの環境の悪化や資源制約)により難しくなっているのが現状である。経済成長を前提しない福祉の充実政策とはどのようなものとして構想しうるであろうか。経済成長ではなく、定常型の経済の構想が必要であり、富の分配ルールの変更が不可欠であろう。スケールダウンする発想、多く持たないことが価値とされる発想が大切だ。そうでなければ、地球全体の生活者の福祉の充実はあり得ない。環境との関わりを通じて新たな方策を構想することが期待される。持続可能性は環境との関わりを見直すことを通じてしか可能性が見えてこない。


12月21日(金) 生活の質
生活の質、クオリティ・オブ・ライフの重視が言われるようになって久しいが、実態はどうであろうか。生活の基盤となる環境や社会保障や医療制度、教育制度などは悪化していると言わざるを得ない。たしかに、快適な空間や設備が増え、自家用車でどこにでも行けるようになっている感じである。その反面において、快適な室内空間や自家用車のために、エネルギー消費は増え、温暖化の原因になっている。車の運転ができない人にとって、交通手段の自家用車化は移動が大きく制限されることにつながる。規制緩和政策の一つの成果は「フリーター」などというあいまいな概念のワーキングプアを生み出し、ひどいとネットカフェ難民やホームレスを増やしていないか。人材派遣会社でのピンハネや違法派遣を頻発させている。怪しげなビジネスで急成長した企業は拡大路線でつまづいている。先端にいる労働者や生活者の暮らしの質はどうなっているであろうか。一部のバブリーに肥大した経営者は豊かな暮らしを享受しているようであるが、それも底の浅いものでしかないのではないか。金儲けが上手というだけで、長期的な評価に耐えられるような社会貢献をしているであろうか。生活者のお役に立つこと=生活の質の向上に貢献することが本懐でなくてはいけないのではないか。本当に満ち足りた気分で過ごせる生き方を追求したいものである。


12月20日(木) 能登町で
一日、能登町で雇用創出についての話しを続ける。事業に参画いただけそうな企業や団体の方々のお話をうかがい、可能性を議論する。当初に想定した通り、1つの企業で沢山の人を採用出来る企業は多くない。一人でもよいから新たな人財を採用して、新たな事業に取り組みましょう!ということが提案であったが、少しずつではあるが、そのような企業が増えていることはよいことである。きめ細かい営業活動が必要なのだと思う。これは事業が採択され、スタートした後でも、継続的に行うべき活動である。仕事は創造しないといけない。

12月19日(水) 過激に議論する意義
熱をもった議論をすることの意義は議論に参加したメンバーが深く考える機会とすることにある。中途半端な議論や妥協は、成果の薄い事業しか生み出さない。いうべきことは明確に言わないと考えていただけないことも多い。「ツーリズム」もその意味では繰り返し言い続けているがいい足りないのだと理解した。もっと積極的に発言していかないと「持続可能なツーリズム(サスティナブル・ツーリズム)」は地域に根付かないし、グリーンツーリズムがツーリズムだとの理解も払拭できない。グリーンツーリズムが一番だと考えている人の認識も変えられない。自らも熱く語った後は深く反省させられるので、課題についての考えを深める機会とすることができる。そのようなことも踏まえ、もっと過激に議論を重ねていきたいものである。

12月18日(火) 情報の質と量
マスメディアを通じての情報の発信は東京が中心で、絶対量も大都会のものが多い。テレビを見ていると毎朝報道されるのは東京の風景である。時々地方も放送されるが。住人が多ければ、そのような人たちが親近感を持つ場所を映すことが優先するのは仕方がないことかもしれない。そのようなマスメディアの情報の出し方とは異なるアプローチが可能なのが、ネットである。徹底して地域にこだわった情報発信も可能だ。フローでは限界があっても、情報の蓄積により、選択性が高まる。お客様は自ら選ぶことが可能なサイトを訪ねるのであり、検索エンジンで上位に来るということだけでなく、その中身がおもしろいから、「お気に入り」に登録して繰り返し見るようになる。そのようなサイト構築を目指すべきであろう。情報の量では相対的に少ないであろうが、質として面白い内容のものを発信し続けることが大事だ。情報量の飛躍的増大は、選択性を高め、お客の選択眼を鍛えることになるはずである。

12月17日(月) 海洋深層水
能登町の海洋深層水協議会の研修会で雇用創出事業について説明。前段でのと海洋深層水の活用についても整理してみた。一次産業、二次産業、三次産業それぞれで活用が可能だ。すでに実践されていることもありし、地元の生活者が利用している方法もある。そのような情報を発信しつつ、活用を促進すべきだ。お互いに付加価値を高めるためにいかに活かすかを考えてほしい。水と塩とにがりを製造しているので、それぞれを活かすことも考えると可能性は広がるはずだ。海洋深層水について学ぶプログラムや健康になるプログラム開発も考えてみたいものだ。

12月16日(日) 無事帰る
朝、6 時20分の特急やくもで出雲市を出発。今回は順調に運行されていたが、途中、岡山県と鳥取県の県境では霧が出ていて、それが長くつづいた。山の中の水田には霜が降りていて、そのせいもあって霧が立ちこめていたのであろうか。それと、このあたりの列車の車窓に広がる石積みの風景は独特のものがある。先人たちが営々と積み上げて築いてきた地域ということが伝わってくる。これらの遺産をしっかりと維持していっていただきたいものである。今回は遅れもなく無事帰りつきました。

石積みの農村風景

12月15日(土) 今年最後の出雲行き
出雲へ神在月サミットの反省会のために行く。いつもの朝5:40のサンダーバードで金沢を出発。京都乗り換えで岡山まで新幹線で行き、岡山からは伯備線で出雲市まで。会議予定より早く着いたので、まず中町商店街の「いしうす庵」で手打ちそばをいただく。なぎら長春堂でお菓子を買い求め、さらに、松ケ枝屋で海産物を買う。松ケ枝屋さんはリニューアルされていて、最初は店が無くなったのかと思った。おしゃれな感じのよい店になっていました。ネットと店売りと半々ぐらいになっているとのこと。リアルな店舗を充実されることはよいことですね。駅前商店街の中でも 魅力的な立寄ポイントです。2時からの会議では、次年度も継続開催することを確認。まちづくり塾のような活動も事前に行った上で、「神在月サミット」を開催することに。今年の分科会で訪ねたところについても継続的にフォローしていくことに。夕方からは駅前通りの「たけ田」という割烹で懇親会。にわかに句会となりました。さらに、喫茶店、バーで3次会までおつきあいいただきました。来年も楽しみですね。

いしうす庵の手打ちそば

改装された松ケ枝屋

懇親会のたけ田の料理

特別に注文したう巻き

たけ田さんの外観

3次会で行ったバー

12月14日(金) 忘年会
事務所の忘年会が近所の割烹「松まさ」であった。早めの忘年会はカメラも忘れていったので、何を食べたかの記録も出来ずに、寄せ鍋をただ食べていた。最後は年内でやめるスタッフへの説教で終わってしまった感がある。酔った勢いは恐ろしい。10分1ぐらいは記憶にとどめてくれるとうれしいのだが、難しいか。何をしゃべったかいいのに覚えていないくらいだから、仕方が無い。素面の時に別の機会を設けられるといいのだが。

12月13日(木) 東京暮らしと能登暮らし
能登でよくうかがう話は、「年間100万円あれば、夫婦2人が暮らせる」ということ。キャッシュフローは少ないが、海の幸、山の幸、野の産物は豊富にいただきながらである。そして、四季の移ろいを楽しみ、きれいで美味しい空気を存分に吸い、そして、先人たちが営々と維持してきた素晴らしい田園風景を背景にしながらである。消費しているエネルギーは車以外は少ないかもしれない。人口減少とともに公共交通が削減されているので、自家用車での移動がほとんどになっている人が多い。それでも、大都会に暮らすことを思えば、無理のない暮らしが可能な地域なのではないか。東京に暮らすとなると、年間どれくらいの収入がないと生きていけないのか。どれくらいのお金を使っているか、そして、モノのフローはどうなっているかを調べてみたいものだ。人が生きていくということは、何らかのフローがあって可能であり、それらのモノがどのように確保されるかが問題なのだと思う。現金で買うモノが多いか、モノそのものを自ら調達したり、回ってくるような仕組みが地域の中にあるか。大半を現金でまかなうのが都会暮らしで、現金の比率が少ないのが能登暮らしかもしれない。そのことの意義を再評価してみるべきではないか。現金が少なくとも暮らせる、生きていけることは価値の高いことのように思うのだが、いかがであろう。

12月12日(水) コンセプトを語る
コンセプトという言葉ほど曖昧に理解されている概念はないのではないかと思う。概念規定も様々で、本によって異なる解釈がされている。事業や商品を発想するための基点となり、アイデアの評価視点ともなる。そして、参画者が共有することで、事業推進力が高まるような表現がコンセプトに相応しいと説明してきた。やはり具体的な例示が分かりやすいようだ。先日の地域づくり支援講座で出した例は、飲食店が自らを「地域の食文化を提供する」とコンセプトを設定した場合。ここから発想できることは、まず、地域の伝統的な食文化を柱にすること、地域の素材を活かすこと、季節感や旬を大切にする、地域で作られた器を使う、素材やメニューの地域性を語る、などということが基本条件として設定できるのではないか。それでも、その食事を、地域で提供するのか、東京に空輸してでも提供するのか、については評価が分かれるかもしれない。広域流通させる加工品にまで進出するかどうかは経営判断でもあるが、いろんな事業が考えられる概念である。このコンセプトが経営者からスタッフまで共有されていれば、接客場面でもさりげない語りが可能となる。評価が分かれる点についても、徹底して地域にこだわるのであれば、地域で提供することに限定すべきであろう。そのように踏み込んだ議論ができるためには、コンセプトをしっかり設定する必要がある。

12月11日(火) 質を高める
一人でやっていてもなかなか深まらない場合、他の人と議論する、アイデア、意見を求めることが有効なことも多い。理想はそのような存在が身近にいることだ。もちろん、ネットが普及しているので、遠方に居てもメール等でやりとりし、後は電話で議論することも可能である。それが成立するためには、直接議論する機会がそれなりに必要である。蓄積した関係を背景に、最新のメディアを活用して、新たな知を生み出すような議論ができればと思う。しゃかりきになって仕事をしてきた感のある企業においても、時短や仕事と生活のバランスを重視した施策を展開しようとしていることは参考にすべきことですね。仕事一辺倒ではむなしい。人生の質を考えるべきだ。

12月10日(月) フレームワーク
新たな事業を進める上で、最初にすべきはフレームづくりである。全体像を概観出来るようにすることで、細部を発想しやすくなる。企画の仕事であれば、1シートで要件を整理する。基本となることを前後関係を踏まえてまとめることだ。優先順位をつけることも重要なポイントになる。いろいろな要素はあるであろうが、何が最も重要かを判断できないといけない。そのためにも、コンセプトを設定することが不可欠である。発想起点であり、判断基準ともなる視点がコンセプトの意義である。フレームの核にコンセプトがあるべきである。コンセプトが曖昧な企画は、構造がしっかりせず、結果も期待できないものとなりやすい。

12月9日(日) 能登の寒ぶりまつり
能登町で行われた能登の寒ぶりまつりの様子を観に行く。朝は天気が良くなかったが能登に近づくにつれ、よい天気になり、開会セレモンーの際は日も射すようになっていた。11時からの寒ぶりの解体ショーの際には会場の特設テントの中は人であふれかえっていました。メインストリートに設置されたテント村もそれぞれ賑わっており、昼過ぎには魚も売り切れていましたが、お客様も増える一方で、これまでで最高の人出になっている感じでした。午後1時前からは、「民宿ふわ」で行われた「寒ぶりツアー」のお食事会におつきあいし、漁師歴の長い荒木さん、桜井さんを特別ゲストに寒ぶりについてのトークのコーディネートを行う。お客様が帰られた後、3人で寒ぶり料理をご馳走になりながら、漁業後継者のことで話が盛り上がる。今年初めての能登の寒ぶりでした。寒ぶりもいろんな料理にすることでバランスがとれる印象です。「ブリしゃぶ」も流行っているが、脂ののった寒ぶりを活かすためには、新たなメニュー開発や商品開発も必要ですね。

元気のよい漁師の女将さんたち

寒ぶりの解体即売

民宿ふわでいただいたぶり大根

12月8日(土) 能登里山マイスター能登学舎
能登半島里山里海自然学校にある「能登里山マイスター能登学舎」で「自然共生型能登再生論」の1コマとしての講義を行う。昨日の延長の話をさせていただいた後、グループワークで能登の活性化のために必要なことについて、アイデア出しを行い、その整理を一旦行う。その後、絞り込んだテーマについて企画提案をまとめていただく。3時間の間に企画をまとめていただきました。積極的な人が多いと違うのかしれない。可能性を感じられてよい機会でした。帰りに、夢一輪館に寄り、板盛りそばをいただく。2日続けてのそばです。

夢一輪館の板盛りそば

12月7日(金) 地域づくり支援講座
夕方から、能登空港で、能登里山マイスター能登学舎の「地域づくり支援講座」があった。「能登で起業するということ」というテーマで1時間ほど話をさせていただく。地域で活動する民間の人だけでなく、行政スタッフも来ておられたので、政策シンクタンクの提案もさせていただく。産業連携を促進するためには、まず一次産業がしっかりしないと難しい。農林水産業がしっかりしたものづくりを継続的にできることで、その加工や飲食、宿泊、商業も可能性が広がるはずである。新たな事業としてはツーリズムの推進を図りたいものである。グリーンツーリズムとエコツーリズムの違いは繰り返し語っているが、トイレルや森林セラピーなども能登で展開したいことである。終了後、珠洲に移動、中山荘さんという能登里山マイスター能登学舎が常宿にされているところに泊まるが、遅い夕食は街に出て、「ろばた焼 あさ井」と「そば処 やぶ椿」(珠洲市飯田町14-27 TEL 0768-82-6281 営業は19:30からで年中無休)で珠洲の夜を楽しませていただく。あさ井はいろんなメニューのある居酒屋で、若い人もお見えでした。やぶ椿は「湯宿坂本」の妹さんがされている店ということで、以前も連れてきていただいたことがある店でした。珠洲の中心街には飲食店が沢山ありますね。

「やぶ椿」のおろしそば

12月6日(木) 路線転換を
午前中は問屋センターで打ち合わせ、夜は河北潟干拓地でミーティング。どちらも、従来のあり方からの転換が求められている。問屋は企画営業や直販、新たな事業展開を行うところが増えている。そのような実態をまず知っていただくことが必要だし、内外の評価を変えていくことが、ビジネスパートナーの開発や人財獲得の面でも重要だ。河北潟干拓地は全国の干拓地と同じように大規模営農のための農地として整備されたものであるが、全国の事例を調べてみても、うまくいっている干拓地は少ない。県内では小松の東田さんが貴重な存在のようだ。河北潟に関して言えば、大規模農業、少品種大量生産という路線は転換すべきではないか。それが利用されていない農地を活かすことや新規就農者の参画への道を開くことになるのではないか。もちろん、すでに干拓地内で営農されている農業者の意志は尊重されなければならないので、彼らとの議論がもっと必要であるが。意欲をもって取り組める農業が実践される場に変えていくことが期待される。莫大な税金を投入して作った大地をいかに活かすか、もっと多くの県民が関心をもつべきだ。いずれにしろ農地の保全活用は、そこで農業を営む人々が中心になることは確かであり、既存の農家だけで足りない部分は、新たな農家の開発も考えるべきではないか。そして、大規模で営農するとしても、マーケティングがしっかり構築されないといけない。どのようなお客様に、どのような商品を提供していくのか、そしてどのような販売を考えるか、そのことを考えないと、いくら大量に作ってみても、たいした値段がつかず、儲からないことになる。これ以上の米の生産はもうあきらめるべきではないか。

12月5日(水) 能登は誰をターゲットにするか
能登の発信を行う場合、誰をメインターゲットにするか。今朝うかがった面白い話を踏まえつつも、携帯で何事も行う未成年の人たちがターゲットではないと感じた。若い人は一旦大都会に出れば良いし、それがよい経験になるはず。都会志向が強い若者を地域にとどめておくことは難しい。大都会での経験を経た上で、地域に向かう人を大切にしていくべきではないか。持続可能な地域づくりのためには、地域で暮らせる仕事が重要であり、そのことを促進することが最優先課題である。具体的には、地域の既存産業や新たな仕事を作ろうと頑張っている人を応援する活動がまず必要だ。農林水産業からものづくり、建設、商業、サービス、ツーリズム、教育、健康、福祉など、多くの現場で働いている人たちがいる。その中でも相対的に若い人や、熟練の技を持った人たちなどをクローズアップすることで、地域での可能性や地域の産物の価値や魅力を感じていただけるようにすることである。能登の産物や商売の仕方が正直であること、ものづくりに必要な素材から人、背景となる風土など、地域にこだわって作っていることをアピールすべきだ。もちろん、既存の商品を磨くような活動も必要である。その結果、全国から注目され、評価が高まり、それぞれの事業が成長でき、雇用も増えるというような流れではないか。その意味では、そのような能登産のものを買ってくれる人、能登に遊びや癒し、健康を求めて旅してくれそうな人をターゲットに情報を提供することが第一次の活動となる。

12月4日(火) 福井へ
夕方めがけて、福井に行く。福井の片町にある「紋や」(福井市中央3-4-6 TEL 0776-23-0040 17:00〜24:00 日曜定休)で会食。予約制のお店のようで、すべての席に予約のプレートが置かれていました。実際、カウンターも含め、すべての席にお客様がいらっしゃいました。コース料理が基本のようで、多くのお客様が注文されていました。帰る際には、店主が玄関でお見送りをされ、名刺とリーフレットを下さいます。一度来られたお客様をしっかりリピーターにするべく努力されている感じです。料理のスピードもよい具合でしたし、競争の厳しい業界でお客様を確実に獲得できている理由が分るようでした。

「紋や」の料理

12月3日(月) 早めの総括を
「地域づくり円陣」特別分科会のことを考えるとなかなか寝付かれなかったが、長く寝ることでようやく総括することが可能となった。その内容は別途アップしたいと考えている。私なりの総括を参加してくれたメンバーに順番に送っているが、いろいろな気付きを与えてくれる感想を素早くお寄せいただいている。おかげで当方の企画の妥当性と今後の課題が明確に分かってきている。私が呼び掛けた若者たちの意欲の高さを感じるとともに、当方が果たすべき役割がはっきりしてきた。今後の活動を早めに企画したいと思う。あえて厳しい選択をしている若者たちに中高年世代も応えるべきだと思う。少なくとも邪魔しないようにしないといけない。えらそうなことを言っても結局、後ろ向きな発言はブレーキにもならないことを自覚すべきなのだと感じた。彼らは確実に先の世代を超えようとしている。彼らが少しでも動きやすい状況を作ることのお手伝いができれば幸いである。能登で活躍する若者たちと出会え、私が一番エネルギーをいただいているのだと思う。時代は確実に動いている。[独断的総括]

12月2日(日) 輪島経由で帰る
木村さんと輪島経由で帰る。輪島では中島酒造にお邪魔し、蔵の再建の件もありお疲れのご主人に、蔵の様子を見せていただき、「おやじの手づくり」を土産にする。朝市の様子も見学し、中浦屋でも土産を買う。金沢駅に着いたのは丁度11時ぐらいで、みどりの窓口で切符を買っていただき、改札口で見送る。今度は百番街の「黒百合」(なぜか飯山の木村さんが常連とのこと)でおでんといきたいものです。睡眠不足と昨日の疲れが出たのか、夕方まで寝ていました。夜は、久しぶりにとんかつ蔵でとんかつをいただく。いつもの「磯エ門」を注文したが、何度食べても飽きない味だ。

とんかつ蔵の「磯エ門」

12月1日(土) 地域づくり円陣
門前のビューサンセットで「地域づくり円陣」が行われた。金沢で参加する田丸さんを拾い、能登空港に向かう。空港ではゲストの木村さんと坂さんを出迎え、一緒に会場へ。昼食後、特別分科会の会場設営を行い、事前の打ち合わせ。午後2時から分科会を開会。最初に「森の家」の木村宏さんに森の家での事業や信越トレイル森林セラピーの活動について紹介いただく。それを受けて、坂さんが今後の能登での活動について語り、後は参加者全員に自己紹介をしていただいた。当初予定していた以上に参加者が増えたので、30数名の自己紹介で定刻になってしまいました。本来プログラムの地域づくりシンポジウムで報告をさせていただいたが、その後の1時間はもったいなかった。分科会を続行し、意見交換を行えた方が良かった。当方の分科会に参加された人には無駄に感じた時間だったかもしれない。受付での特別分科会への誘導が徹底しておらず、参加を予定していた人で、地域づくりシンポジウムの会場に案内され、参加出来なかったことも申し訳ないことであった。今後も、若者たちを主体にした研究会を継続的に開催できるとよいのだが、・・・。世代交代を促進しないといけないと痛切に感じた会合であった。

分科会に参加してくれた川原伸章さんが作っている川原農産の焼き栗

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