ソーシャルアントレプレナーとは?伝統建築にチャンスを見出した人々から学ぶ、起業の話。

ソーシャルアントレプレナーとは?人口6万人の小さくて多様な町の物語。

「社会課題の解決」と聞くと、眉間にしわを寄せて、喧々諤々と議論する姿を思い浮かべるかもしれません。けれども石川県加賀市を訪れると、そこには肩肘張らない形で芽吹く“起業家精神”が潜んでいます。ソーシャルアントレプレナーとは?――その答えは、意外にも笑いと遊び心に包まれていました。

今回は、社会的な起業家を研究しているゼミ生が、伝統建築の維持・活用を学ぶためにフィールドワーク。

ゼミ一行は、「山間部の炭焼き集落」と「町屋建築の残る旧城下町」を訪問。空き家が社会課題となるなか、それらを資源として事業に活かす住民たちのもとへ訪ねました。

開催日 :2024/9/10(火)-13(金)
参加者 :中央大学のゼミ生(学生11名/教員1名)
訪問先 :石川県加賀市東谷地区&大聖寺地区
移動手段:車

里山の空き家に、チャンスを見出した人々。

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「日本の原風景とは何か?」――その問いに対する一つの答えが、ここにあります。石川県加賀市の山間に広がる東谷地区。赤瓦と囲炉裏、煙出しを特徴とする古民家は、田畑や森と調和しながら村を形成しています。2011年には国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、文化財としての価値も折り紙付き。しかし、この村がただ“保存される場所”にとどまらないのが面白いところです。

かつて製炭業で栄え、やがて衰退を経験したこの土地に、今ではインバウンド向けの里山ガイドやサイクルツーリズム、漆芸講座、ゲストハウス運営といった新しい試みが芽吹いています。捨てられていた空き家が、いつの間にか「社会課題を解決する実験場」に変貌している、という見方もできます。ここで営まれているのは、地域ならではのソーシャルアントレプレナーシップに他なりません。

「でも、不便でしょう?」と都会人はつい口にします。実際、歩いて行ける範囲にはスーパーも病院もありません。

ところが住民は笑い飛ばします。「人生の三分の一は寝てるんだから、空気のうまいところで暮らさなきゃね」と。なるほど、不便を逆手にとった発想こそが、この地を面白くしているのかもしれません。

旧城下町のカフェが、白熱する教室となったフィールドワーク。

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9月、蒸し暑さで学生たちの額から汗がしたたり落ちる。熱中症から逃れるように駆け込んだ先は、古めかしい町屋を改装したカフェでした。アイスコーヒーで息を吹き返した学生たちの、インタビューが始まります。

旧城下町の大聖寺地区には、江戸時代の町割りが残され、寺院群や町屋建築、武家屋敷などが現存してます。閉業した絹問屋や魚屋、歯科医院など情緒ある木造建築は、カフェや工房へと蘇っています。社会課題である「空き家」が、単なる住まいではなく、交流の拠点へと生まれ変わっているのです。

そうした事例に学生たちも興味津々。矢継ぎ早に質問が飛び出す。なぜ、どうやって、この建物は生まれ変わったのか。気づけば会場は白熱するゼミさながら。講義室よりもずっと涼しく、そして熱い。

この町で暮らす大人たちは、なぜこんなに楽しげに挑戦を続けられるのか。遊び心とアントレプレナーシップが共存する理由とは?答えは、アイスコーヒーの氷とともに静かに解けていきます。

地域を学びたい学生が

1日から参加できる

フィールドワーク

いしかわサテライトキャンパス

自然と文化の息衝く石川県で、とことん学ぶ体験を。
温泉地、城下町、里山、漁港、農村、商店街を歩き
わくわくするような学びを掴み取ろう。

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