インバウンド観光とナイトタイムエコノミーの繋ぎ方を考える20歳のフィールドワーク。
インバウンド観光とは?
外国人観光客に、どのような日本文化を体感してもらうか?
そんな疑問を胸に、フィールドワークを開催。
今回は温泉地観光を研究するゼミが、加賀温泉郷へ訪問。就職先に悩む学生たちに、与えられた任務は極めて真剣——「インバウンド観光の未来を描け」というものでした。
「旅館」と「芸妓」へのヒアリング調査の末に行き着いたのは「ナイトタイムエコノミーの活性化」。温泉で火照った体に夜景と料理を添えるイベントプランが誕生したのです。その企画は大学の国際観光プランニングコンテストに送り込まれ、結果は——最優秀賞。
その一部始終をレポート。
開催日 :2024/11/5(火)-6(水)
参加者 :東洋大学のゼミ生(学生19名/教員1名)
訪問先 :石川県加賀市
移動手段:車
就職先に迷ったら、最前線で働けばいい。感動の沸点を肌で感じられる仕事。





気づけばエントリーシートの山、締切のカウントダウン、そして「本当にこの道でいいのか?」という永遠の問い。はっきり言ってインバウンド観光の未来より、自分の未来が心配。そんな不安がよぎる20歳に突きつけたい提案があります。
――迷ったら、観光の最前線に飛び込めばいい。
旅館は、没入型の文化観光コンテンツです。温泉、浴衣、料理、工芸、建築、おもてなし。あらゆるものを総動員し、エンドユーザーが笑顔になる瞬間をつくる。しかも「何が売れるか」「何がリピートされるか」が数字として蓄積される。教室の黒板では絶対に手に入らない、生々しいデータがそこにあるのです。
今回のフィールドワークでは、女将や経営者に聞き取り調査を行いました。すると浮かび上がったのは、インバウンド観光への姿勢。外国人観光客は連泊しやすく、消費額も高い。さらに国内旅行のオフシーズンにも訪れてくれるため、地域の観光経営を支える存在となりえます。
それゆえ連泊者向けに、文化体験プログラムの提供する旅館も現れてきています。
観光客を呼び込む秘策は?お客が笑顔になる瞬間とは?そういった感動の沸点は、どこにあるのか?「お客のニーズを肌で感じられるインターンシップもあるよ」という魅惑的な提案も飛び出しました。偶然の出会いから、将来の仕事が決まることもあります。
舞と唄とお座敷遊び、芸妓から学ぶ「おもてなし」





最盛期の昭和30年~40年代には200人を超えていた芸妓。
煌びやかな着物を纏った芸妓が舞う姿――それは、石川県加賀市・山中温泉に息衝いていた華やかな文化の象徴です。舞と唄のリズムは、宴席を劇場に変えます。しかし、この文化の真骨頂は、ただ眺めることでは終わりません。観客を巻き込み、一緒に笑わせ、転がす「お座敷遊び」に至るプロセスにこそ、芸の神髄があります。
この日、大学生たちは、「舞の鑑賞とお座敷遊び」を体感。たとえ料理や酒がなくても、芸妓の巧みな仕掛けに引き込まれ、次第に大笑いの渦に。
舞から笑いへの相転移
こうした伝統ある没入型コンテンツを体感することが、最大の学びです。
夜の温泉街を彩ってきた芸妓文化は、ただの娯楽ではなく、人と人をつなぐコミュニケーションの魔法。では、この笑いの嵐を未来にどうつなげるか――観光と文化と継承、それらを縫い合わせる奇想天外な発想が求められています。
インバウンド観光の起爆剤、20歳が描いた夜の魔法。





夜の温泉街を彩ってきた「旅館と芸妓」
2つの没入型コンテンツを肌で感じた20歳たちの発想は、思いもよらぬところに着地しました。
その企画のターゲットは欧米人。湯上りという、心も財布の紐もユルユルのタイミングをねらったナイトマーケット。観光客を旅館から引っ張りだす秘策は「夜店」です。浴衣姿で地酒を嗜み、料理に舌鼓を打つ。温泉地の街灯が生み出すノスタルジックな演出により、地域の魅力も3倍増し。
その夜店スタッフには学生インターンを起用。観光客と若者を誘致する、という一挙両得の作戦。このユニークな発想は大学の国際観光プランニングコンテストに送り込まれ、見事最優秀賞を獲得。
インバウンド×ナイトタイムエコノミー
その起爆剤となる発想を持つ学生が、もしも旅館で働くことになったら――それは地域を少しずつ変えていく原動力となるかもしれません。
地域を学びたい学生が
1日から参加できる
フィールドワーク

いしかわサテライトキャンパス
自然と文化の息衝く石川県で、とことん学ぶ体験を。
温泉地、城下町、里山、漁港、農村、商店街を歩き
わくわくするような学びを掴み取ろう。