越中八尾散策ガイド
和の小ものと
アンティーク硝子

[今昔かたかご]

好きなものしか置かないというポリシーではじめたお店。八尾散策の立ち寄りスポットとしても見逃せません。
今昔かたかご
富山市八尾町西町2236
〒939-2355
TEL 076-455-9656
営業時間:9:00〜17:00
定休日:毎週水曜日


■これからの人生は、好きなことを仕事にして過ごそう
 お店の開店は2006年の3月。オープン前年のおわら盆と坂のまちアートのときは、プレオープンをやりました。
 子どもが成人したら、やりたいことをさせてもらおうと思っていたので、「お父さん、あたしもよく働いたし、自分のやりたいことさせてもらえない?」って。「家にはノコギリを一切入れないし、やめようと思ったら明日すぐ元通りになるような商売で、私ひとりのお小遣い稼ぎになれば良いと思ってやらせてください」とお願いしたら、「いいよ、やってみなさい」って。

■昔のものを今に生かす
 今は皆さん、着物離れですよね。自分自身もなかなか着ることがない。着るのが一番良いことだし、ハサミを入れるのは勿体無いことなんだけれども、捨てるくらいなら、違うかたちに生まれ変わらせるほうがうんと良い。昔のものを今に生かしながら、今のものを昔にもう一度戻しても良いんじゃないかな。それで、店名に「今昔」と付けた和装小物の店を始めました。
 八尾という地の利もあるし、元々が商売屋の生まれですから、不特定多数の人との出会いが楽しみで、昔から小間物屋をやりたいな、と思っていたんです。実は高校の頃から、学校帰りに問屋に寄って仕入れの手伝いをしたりしてたんですよ。

■自分が使いたいものを置く
 自分のこれまで接してきたものの中から、自分が使いたいものを、身の回りで販売する。こんなやり方です。これなら家に負担も掛からないだろうと、ムリの無い範囲での商いをしようとしたのがきっかけです。
 やると決めたら半年くらいで一気に作り手さんのリサーチをして、観光地も見てきたりと、もう早かったです。作り手さんは日本中だから、やり取りするために息子にメールと検索だけ習いました。

■作品の仲人(なこうど)
 私は、お客さんと作り手さんの仲人だと思ってるんです。お人形さんが売れたら、作り手に「何歳くらいのこういう方が買っていかれましたよ。お嫁に行かれましたよ」と報告する。バッグとかはしないですけどね。私が作ってる訳でもないから、あくまでも仲介役だと思ってるんです。

■江戸ガラス
 2階はガラスの店になっています。私、お店に関しては20年計画にしてるんです。最初の10年間は古布に力を入れてやっていく。でも、残りの10年は、ガラスのことをゆっくりやっていきたい。古布のほうは、今の年齢で始めたからできたけど、60歳過ぎたら、今度はゆっくりと骨董のほうをしたら良いなと思っているんです。それは売れなくても、展示を見てもらうということでも良いかな。
 今も、江戸時代のもの、江戸ガラスをちょっと紹介しています。大正期のものもあります。ちょっと派手目なのは、東南アジアの輸出向けですね。
おわら、曳山に合う景観で
 店名の「かたかご」は、カタクリの花のこと。この辺りの古名です。他県の人には分かりづらいけど、そこからまた会話も生まれるかなーと、あえて付けました。店構えは、大工さんが、「このまちはおわらと曳山があるから、それに沿うた家にせぇ」と言ってくださって出来ました。
 八尾というところは面白いところで、おわらの時には勝手に人が入って来て、どうもこうも無かった。お店にしてからは、あんまり入って来なくなったけれど、それまでは普通の家だったのに、知らない人がここで飲み食いして行かれるんです。「毎年ここへ来て、晩ご飯食べさせてもろうとるんです」という方もおいでました。中には、「食べたゴミは持って行ってね」と言ってるのに、「あっ、踊りが来た」と言って行ってしまう方も。
 今のお店で、「喫茶をしたら良いのに」って言ってくださる方が多いんですけど、それを考えるとちょっと。おわらの時に一旦座ったら、帰られないですもんね。

■友だちの輪が全国に広がる
 とはいえ、今は友だちの輪が広がって商売させてもらってるようなもんです。初めての方と接する時に、八尾という地名はすごくプラスに働いてくれました。「 富山県の八尾です」と言うと、イコールおわら。「もしかして、ここで知り合いになっておけば、おわらの時に行けるかも?」と、話も聞いてくれるようで。
 ただ最近は、一人でやるには限界にきてますね。問屋さんからまとめて仕入れるんじゃなく、作り手それぞれと1対1でやりとりしてますから。
 うちに来られるお客さんの層は、他のお店に比べて変化のある方ばっかりです。例えば新潟の常連さんが茶豆を持って、「美味しいよ」って来られたり。楽しいですよね。

インテリア小ものや
アクセサリーも。



着物の生地を活用した袋ものは、
見るのも楽しみ。




手描きが素朴なテイストのガラス。


アンティークのガラスも。



間口がゆったりとした入口です。


いかにも八尾らしい庭を眺めながらひと休みして、ぜいたくな気分。



別のお店を見る八尾散策ガイド「お店訪問」トップへもどる