越中八尾散策ガイド
人の和をつなぐ
フリースペースを新設

[空間工房 和の輪](いやま呉服店

和装が似合う町・八尾の呉服屋さん。その2階に、多目的に使える素敵な和の空間が誕生しました。
いやま呉服店
富山市八尾町上新町2785
〒939-2342
TEL 076-454-2163
営業時間:8:00〜20:00
定休日:第1第3日曜日
http://www.cty8.com/giyama/


■オーダー服の時代から、既製洋品・呉服の時代へ
 大正時代からのお店です。うちも昔は呉服じゃなくて、衣料品店でした。そもそも“呉服店”という言葉が無かったらしいですよ。
 昔はみんな製造業です。万博の頃までは、既製品の女性の服って無かったんですよ。縫い子さんが、うちでさえ十人いました。注文をもらうと、縫って洋服を作るんです。
 昔は作業着や木綿の反物が主でした。さらしもそうです。主力はどっちかと言うと、布団の綿。工場を持っていたから、戦争中は軍需で優先的に綿を回してもらっていたみたい。生活必需品ですから。
 今の団塊の世代が子どもの頃に、入学式のお母さんの着物だとかが売れ始めて、呉服ものに転換していったんだと思います。おばあちゃんの時代には、もうやっていたと思います。
 それまでは、本当に呉服を専門にやってる店は、富山、金沢、高岡ぐらいにしか無かった。京都の店も、だいたい戦後に番頭さんたちが暖簾分けして生まれたようです。
 今の商売の柱は洋品ですね。周辺の人など、常連客の皆さんに可愛がっていただいています。観光の方も気軽にのぞいて行っていただいてます。

■おわらのまちの呉服店
 わたしたちの世代になると、おわらも正調になっていました。その頃は着物を皆さん、競って作ってくださった時代です。小さいお子さんでも大人の方でも。晴れの舞台という感覚ですね。
 今は、おわらの本番が忙しくなりすぎて、地元の人が皆さん浴衣を着ているヒマも無い感じです。風の盆って、開催には結構エネルギーを使うんですよ。とりあえず風の盆が終わるまでは他のことに手が回らなくて、毎年この時期、時間が止まるような感覚です。「本番が忙しくなってしまったから」と、前夜祭を始めたけれど、前夜祭も忙しくなってきてる。
 昔だと、夜になったら着替えて踊りに出ていたんです。今はみんなおわらの時期には疲れきってしまっていて、ちょっと残念ですよね。

■和装でしっとり楽しむおわら見学
 お客さんも同じです。昔は、お客さんも良い着物を着て、お洒落をしておわらを見に来てくださる方が多かった。見ていると、「素敵ねぇ」という方がやっぱり何人もおいでたんですが、今じゃ観光バスで、本当に簡単な格好をして、どーっと来てどーっと帰っていかれる。
 お互いにおわらを良い雰囲気の中で楽しむためには、見ているお客さんも風景の一部として参加するつもりで、ファッションを楽しんでくれるともっと良いですね。

■かつてのおわら
 おわらと言えば、昔はおわらって不気味なものだったんですよ。家の者が誰かおわらに行ったというと、よく「探してきて」って言われました。いわば不良が行くものといった感じです。夜出て行く訳ですしね。歌の歌詞も、痴話歌みたいなのが多かった。
 それを嘆いて、川崎順二さんが歌人の小杉放庵さんらの歌に切り替えていった訳です。振り付けも、民謡踊りでなく、日本舞踊の動きで新たに振り付けして、今の美しいおわらが生まれたんです。

■空間工房誕生
 2007年の春、店の2階に空間工房“和の輪”をオープンしたばかりです。名前は、「わ」が好きなので付けました。和みであり、人の輪であり、楽しみである。その輪が波紋のように広がっていくイメージを込めています。
 ちょっとした個展会場やカルチャーの発表の場、あるいは会合とかパーティの会場に使ったり、「一日ゆっくり八尾を楽しみたい」という方のお休み処にしていただいても良いし、ご自由な使い方をしてもらえればと思っています。事前に問い合せていただいて、ご相談しています。
 八尾は雰囲気のあるまちなので、そこを着物を着て歩くことは喜んでいただけると思います。将来的には、ご予約していただいてこちらで着付けをして、八尾のまちを散策する拠点として使っていただくことも良いなぁ、と考えているんですよ。

きものをご愛用の奥様とご主人。




和のたたずまいが八尾の街並みに映えるお店です。



可愛らしいちりめん小ものも。



2階の
畳ゾーン

なごみと
人の輪への
願いを込めて
命名。



お店ではごゆっくりどうぞ。



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