心が入ったときは、ええもんができます。
  山田 浩巳さん[山田屋菓子舗]
山田屋菓子舗 八尾の菓子職人シリーズ

ご主人の父親が発案した『風の盆もなか』。跡を継いだご主人が、時代の流れに合わせて、餡も皮も砂糖の量もすべて変えたのだとか。現在の『風の盆もなか』は、パリッと香ばしい皮と、粒餡の控え目な甘さが魅力です。


山田屋菓子舗
〒939-2376 
八尾町福島115
TEL 076-454-2327
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井田川の橋のたもとのお店
 父のときに創業しまして、70〜80年になるお菓子屋です。私で二代目。その前は米屋を営んでいたようです。
 店は昔からずっとこの場所にあります。井田川に架かる橋のたもとで、河原が目の前に広がり、旧町に連なる家並みが望めるところです。
 お店にいらっしゃるお客様は、観光のお客様が半分です。普段は注文のお品が多いですね。


『風の盆もなか』
 本当に昔から続いているお菓子というのは一つか二つ。銘菓というものは次々とお客様が新しいものを要望する傾向が強いようです。
 『風の盆もなか』は父の代から作っておりますから一番古い商品です。特徴は小豆を丸々白餡の中に入れたこと。粒を割らさず、潰さず、破れないように炊くんです。
 皮を破らないように炊くには、やっぱり時間がかかります。一旦蜜漬けして一晩二晩おいて、それから蜜を取って白餡を炊いた中に入れる。普通の炊き方より二度手間がかかるんですね。

一年一年味の追求が続く
 『おわら立山』は、栗を丸ごと一つ入れた焼き菓子です。栗は、「不作だ」という評判が立つとすぐ高くなります。粒の大きさも考えて、1年分の手当てをしています。味の流行に合わせて、チーズやフレッシュバターで皮の味を変えています。やはりお客様の趣向に合わせて、毎年味を変えていきませんとね。
 4〜5年前から売り出している『おわら太鼓』は、自分の中ではまだ試作中というか、本当のところがつかめなくてなかなか満足ができないものですから試行錯誤中なんです。うまく出来ても中の小豆の水分が皮に浸透したりして、固さがよくない。今年中に何とか完成させるつもりで、意気込んで取り組んでいるお菓子です。

戦争中の共同お菓子づくり
 私は中学の頃から父の手伝いをしていましたから、お菓子屋としてはもう50〜60年になります。戦争中は統制で砂糖なんか使えなくなりまして、その時に八尾のお菓子屋さんが皆さん集まって、一緒にお菓子を作っていたんです。砂糖がない時代でしたが、取り寄せてくださる方がいらっしゃったものですから、うちの親父たちが一生懸命作っておりました。
 私は富山の学校に行っていましたので、汽車に乗って富山へも運んだものでした。もう、飛ぶように売れましてね。作っても作っても間に合わないくらいに売れたものです。富山は空襲でやられまして焼け野原になりましたが、そこにポツンポツンとまた家が建ちまして、食べものがない時代ですからモノがよく売れました。
 飴とかもうちで作りました。親父がどこからかサトウキビを仕入れてきて、煮て飴にして、それを砂糖代わりの原料にしてお菓子を作ったんです。煎餅もやりましたし、売れるものは何でもやりました。

玉天もみんなでつくっていた
 戦後になると、自分の店でお菓子を作れるようになり、みんなが共同でお菓子をつくるということはなくなりました。八尾には昔は30軒以上もお菓子屋さんがありました。それだけ多かったのは、一堂に集まってお菓子を作った関係もあるんだと思うんです。
 『玉天』は、八尾のお菓子屋さんは皆さん作ってます。『玉天』もみんなで作ってましたから、皆さん作れるようになったんです。でも帰ってから各自、自分の独特の味を作られてますので、微妙に味が違ってきています。内容は白身と黄身ですけども。有名になったから、他所から来た方がお求めになって、夏場によく売れますね。当店では、『玉のかおり』という商品名で販売しています。

地域に根付くお菓子を
 一番のオススメは『少兵衛』と『風の盆もなか』ですかね。『少兵衛』さんは八尾の町を創った人物。私が最初に手掛けたものです。最初はフレッシュバターで仕上げた欧風の味が珍しくて喜んでいただきました。時代とともに味の趣向も変わり、口も慣れてきたので、中の餡を変えてみたり、アーモンドをレーズンにしてみたりいろいろと変えて、お客さんの反応も見ています。
 最近はあんまり甘いのは好まれないので、その分、他の味で補わないといけません。砂糖が少ないと日持ちがしないですから、私たち菓子職人にとってはより高い技術が求められる時代になってきました。
 八尾には観光で訪れる方が多くなりましたから、地元で作っているものを求めていただけると嬉しいなと思いますね。


おわら風の盆に
ちなんだお菓子は
やはり人気。


屋号はずっと山田屋。通称の「加志成庵」は心を込めるという想いも込めて。





先代が商標登録したロングセラー『風の盆もなか』と、『おわら太鼓』。





『おわら立山』




ご主人が初めて手掛けただけに、思い入れのある商品『少兵衛』





「2004年は『梅が枝』がよく売れました。梅は体にもよいですからね。」




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