高校におわらを唄いにいっとる。好きながやちゃ、おわらが。
  小蔵 明宏さん[小蔵亀寿堂]
小蔵亀寿堂 八尾の菓子職人シリーズ

素朴な甘さの「越中八尾 曳山」と、甘酸っぱい「二百十日 風の町」との組合せは抜群。少量生産で手作りのぬくもりを伝え続けるだけでなく、14歳の社会体験の受入先になったり、小学校に菓子作りを教えに行ったりと、地域に貢献している。


小蔵亀寿堂
〒939-2342 
八尾町上新町2714
TEL 076-454-2343
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店名と『金津和』の由来
 父が富山の亀寿亭で働いていましたが、そこが店じまいされたことから、その名前をいただいて八尾で店を始めました。それがもとで富山で知られていますし、人気があります。
 亀寿亭時代から数えると、きんつばは100年以上の歴史があります。きんつばの形状は小判型で、富山独特。あずきは北海道の特上のものを使っています。包装紙のデザインは林秋路さんの版画を使わせていただいています。「金津和」という文字は読みづらいかもしれませんが‥‥。
 きんつばは、ずっと父が一人で焼いています。仕事は朝8時ぐらいからしていますが、数には限りがあります。


細工職人
 細工物を作れる人は、八尾にも何人かいらっしゃいますが、父に細工物を作らせたら、八尾で右にでる人はいないと思います。80歳を超えて、まだ現役で菓子づくりをしています。残念ながら、引き出ものの鶴亀とか最近は注文が少なくて、父が腕をふるう機会も少なくなっています。
 落雁も作ることが減っているので、木型はあんまり使わなくなっています。
 父は桜餅づくりとかの指導も行っています。小林忠雄さんが作られた八尾の映画でも、大福を作るところを撮影されましたが、手元ばかり写っていて本人とは分からないのが残念ですね。

神岡から富山市内まで
 戦後、八尾町のお菓子屋では最初に店を開きました。戦時中は物資の統制があったので、皆でまとまってお菓子を作っていました。確か「八尾製菓」だったと記憶しています。
 当時は、神岡辺りからのお客さんが多かったようです。神岡鉱山の運動会のお菓子はうちが提供していたんですよ。富山の方にも卸していたので、電車とかで配達していました。婦中方面には、人夫を頼んでソリで栗饅頭とかを運んだこともあったようです。

町外のお客さんも多い
 うちに来る砂糖屋さんは「小蔵さんのきんつばは、富山でも有名だった」と言ってくれます。八尾の人にはあまり知られていませんけど‥‥。資材の限られた時代でしたが、今の大沢野方面から仕入れるルートがあったようです。
 戦後一時期は大きな商売をしていて、職人もたくさんいました。年末はアルバイトも入れてお菓子を作っていたようです。
 その後、徐々に商売の規模を小さくしてきて、今は富山空港と砺波ロイヤルホテル、あとは葬儀屋さんの仕事もしています。お客さんは今でも町外の人が多いですね。大沢野、婦中、富山‥‥。新しいお客さんも増えていますし、富山市内からでも注文をいただいてます。

珍しい御菓子
 私が店に入ってからは、新しいお菓子づくりにも取り組みはじめ、和洋折衷的な発想から商品づくりに取り組みました。『曳山』というマロンパイは、たぶん北陸で最初に作ったものだと思います。『いちご大福』も、大阪の問屋さんに教えていただいて富山県では最初に作ったはずです。赤飯饅頭なども、いち早く商品化しました。
 当店は小さいお菓子屋ですが、常に新しいお菓子づくりに取り組んできました。でも、『勝ち栗』の場合もそうですが、多くの菓子屋が手がけるようになると目立たなくなりますね。絶えず商品開発をする姿勢が求められます。

きんつば
 『玉衣』と『きんつば』、『まゆ』が売れ筋ですね。『きんつば』は、たまたま空港で買っていただいた八尾町内の企業の社長さんが気に入られて、「これからはこれにしなさい」と言っていただいたとか…。八尾というと玉天のイメージが強いと思いますが、いい商品を作り続ければ、いつかは認められるんだと思って菓子作りをしています。
 『玉衣』は雑誌の「和楽」で紹介していただいたこともあります。食べて美味しかったので紹介いただいたとのこと。タウン誌のタクトでも紹介いただいています。甘さを抑えて作っているので食べやすいのではないでしょうか。卵らしい風味が活きています。糸寒天を前日から水につけて仕込んで作ります。
 『まゆ』は八尾の地場産業だった養蚕にちなんで、「桑の葉」を用いた和菓子。桑の葉の粉末を白あんに練り込み、カステラ生地で包んだものをホワイトチョコレートでコーティングしています。「まゆ」の形をしており、八尾らしいお菓子として最近特に人気があります。

14歳の挑戦
 子供たちが職業体験で来た時は、サツマイモを掘りに行くところから体験してもらい、手作りでお菓子を作ってもらいます。栗を拾いにいって、栗きんとんを作ったりもします。玉衣の作り方も教えています。

お店での試食を
 お菓子は、実際に作っているところを見ていただくといいですね。店を少し改造して、お菓子づくりが見えるようにしたいと考えています。釜を見せるだけでお客さんのイメージが膨らむことがあります。

 商品は限定だと飛ぶように売れます。「坂のまちアート」の時は多くのお客さんが入ってくれて、売上げも多くなりますね。
 上生菓子など、季節の味わいを演出していくところも菓子作りの面白いところでしょうか。型で作っている菓子屋が多い中、当店では手作業でつくっています。
 自分でいろいろ考えて作れる仕事なので、本当に面白い。お茶会のためのお菓子なども、季節感を表現することが大切なので、もっとも創造力が必要とされる仕事かもしれませんね。


『金津和』と書いて、「きんつば」と読ませます。



父上は細工物の菓子づくり名人。



マロンパイ『曳山』


  梅がまるごと入って甘酸っぱい
  『二百十日』



桑の葉を用いた新商品 『まゆ』。



『玉衣』は定番商品。


『玉衣』づくりの指導も行う。



焼きたての香りは人をひきつける。



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