一枚一枚手で焼いとる。焼き始めたら6時間手はなせん
  花島 繁夫さん[花島おわら堂]
花島おわら堂 八尾の菓子職人シリーズ

名物「おわら煎餅」は、しっかりとした味付けとパリッとした硬い歯応えがクセになる逸品。
昔は軍手をしていなかったため、煎餅を裏返しにする際、いつもやけどをしていたのだそう。


花島おわら堂
〒939-2376 
八尾町上新町2705
TEL 076-454-2347


おわらが有名になって養蜂業はやめた
 菓子屋としては大正時代からです。横浜あたりで、先代が17〜18歳の若さで創業したそうです。饅頭とか餅から始めたんでしょうね。
 昔は蜂蜜もやっていました。妹が嫁に行った家のお爺さんとお婆さんがやめた時に、私が引き継いだんだけど、自然が相手だし、ミツバチの世話も大変。ミツバチには病気もあります。そんなことが原因でやめてから10年ほど経つでしょうか。おわらが有名になるにつれて忙しくなって、管理ができなくて止めました。


煎餅づくりは子どもの頃から手伝ってました
 うちのメインは『おわら煎餅』ですね。煎餅を始めたのは、私が中学2、3年の頃。はじめは炭で焼いてました。
 手伝わされるのが嫌で嫌で。煎餅の「ミミ」といって、端っこが出るのを取るんです。ハサミで切るやり方を知らずに、ずっと手でやってましたから、手の皮が薄ーくなるんです。学校が終わって、今でいう観光会館の辺りまで来ると煎餅の匂いがする。この匂いがすると、「また家に行って手伝わないとイカン」って。
 「おわら」の商標は、私が小学校から中学校に上がる頃に、たまたま父親がとりました。その時はどこも取ってなかったんだそうです。宮田特許事務所さんに「今なら取れるよ」言われてその気になって取ったって(笑)。

水飴の加減が煎餅を美味しく
 今でも、焼き始めると手が放せません。6時間はトイレも行ってられないくらいツキっきり。火を止めると、戻すのに時間がかかるんです。そのうち眠たくなると、こんな失敗作ができます(笑)。
 味の特徴としては、砂糖だけじゃなしに水飴を入れるんです。その方が焼き色もキレイになるし、ただ甘くなくて、ふくらみのある甘さというか深さが出る。でも飴の味が出てくると、あんまり美味しくない。加減があるんです。


赤飯やお餅も生活慣習に欠かせない
 作る量は以前から見れば減ってます。今は煎餅自体が山ほどあるし。売上的には、赤飯・餅で5割。それで生活しています。
 赤飯は増えてますね。3月の終わりになると山間地のお祭、8月のお盆に少しと、風の盆の3日間に特に需要があります。最近は、法事の時に、金時おこわとか黒豆のおこわもよく使われます。一般家庭の方から注文が多いですね。昔はみんな自分の家でつくったものですけど。
 お餅はやっぱり年末や正月。あと、このあたりでは、赤ちゃんが1歳になると、親の家(お嫁さんの実家じゃなく)が「誕生餅」を配るんです。白い餅と黒豆の餅をセットで。
 そういうことを今もキチンとするのは、富山の人が餅好だからですかね。

玉天も昔の何十倍作ってる
 八尾の銘菓といえば、『玉天』でしょうか?。
 『玉天』は、タマゴを泡立てて固めたもの。生のタマゴを使うから、日持ちのためには甘味が抑えられない。砂糖と寒天を煮詰めた蜜を入れてミックスさせるだけ。それでも今の作り方になるまで何回も失敗してます。入れる量は一軒一軒違うと思いますよ。
 はじめは泡立ても手でやってましたが疲れるのでやめました(笑)。以前は、風の盆といっても、せいぜい300個程度でしたが、今は昔の何倍、何十倍の数が売れます。
 本当は煎餅を売りたいけど、皆さん有名な『玉天』目当てにいらっしゃるでしょう。『玉天』を店に置いておかないと、他のお菓子が売れないから仕方なくつくってるんです(笑)。ちなみに当店では『唄の里』という名前で販売しています。

丸くて焼いた「きんつば」
 『おわら煎餅』に『玉天』、あとは焼き菓子。『きんつば』とかがあります。昔は『きんつば』は、夏場は全然ダメだったけど、今は脱酸素加工が出来るから大丈夫です。
 『きんつば』でよくあるのは寒天入れた白い「角きんつば」ですが、うちのは焼いてあるから、「これが『きんつば』ですか?」とよく聞かれるんです。焼きたてより次の日が、蜜が馴染んで美味しいですよ。
 私の親は昔、2つ穴あけて刀の「鍔(つば)」みたいにして売ってました。今の時代は、お菓子は比較的小ぶりのものが好まれますね。

手づくりで薄い皮に餡を付けていく
 こだわりと言うか、きんつばの作り方には、ドロドロの種を作ってドボンと浸けて焼く方法と、手で皮を薄くして、それに餡子(あんこ)を付けていくやり方があります。ドボンの方が楽なんだけど、皮が厚くなる。私はドボンの方はやったことがないもので、親のやっていた通りにしています。
 きんつばは、うちでは煎餅よりずっと古い。これと六方焼と大福餅が、富山でも西寄りの地域に伝わる昔からのお菓子ですね。

限定の緑色の玉天は好評だった
 今年の「手のしごと市」で、試しにお茶を混ぜて、緑の玉天を作ったんです。上新町の女性グループ(友女の会)と一緒に考案しました。観光客の人が玉天を割って、「あら、黄色じゃ無いの?」(笑)。
 つくったのは、桑の葉入りの玉天です。元々八尾は養蚕が盛んだったことと、近くの若宮神社がカイコ宮(みや)と呼ばれていることが桑の葉を使った理由です。 味も、お茶(桑)の渋みが甘さを上手に抑えてくれるし、色も緑のすごいキレイな色です。

気軽に味を試していただきたい
 やっぱり八尾に観光客が増えてるから、美味しいお菓子を食べていただきたいね。でも、お客さんがうちの店に興味を示してても、ガイドさんは迷子になるかと思って、子どものように手を引っ張っていくんですよね(笑)。
 あと最近は、お土産にするより、バスの中で食べてしまいたいみたい。だから小さい小袋の方が喜ばれます。桑の玉天でもカステラでも、「200円なら」って、そこで開けて食べてしまう。食べながら歩くのも楽しいんですね。


ロングセラー『おわら煎餅』。



ふくらみのある甘さと、独特の深い味わいを、口の中でしっかり楽しめる。香りも良い。



『唄の里』



『きんつば』は皮が薄くなるよう手づくりする。



『六方焼』も、古くからの定番商品。


店頭には、『おわら煎餅』のパッケージデザインの原画が。


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