[ 金沢便り2011.6月 ]
最初のページの金沢便りのバックナンバーコーナーです。
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6月30日(木) パンフレットお届け行脚
  能登ふるさと博のスタンプラリー「Don歩ラリー」パンフレットを午前中に4000部だけ、仕上げていただき、それを印刷会社にとりに行き、その足で能登に向かう。昨日届いた「能登人と過ごす能登時間」パンフレットと一緒に届けて回りました。今年新たにスタンプラリーに参加していただく宝達志水町、羽咋市、中能登町、七尾市、志賀町の町役場、市役所に持参。その後は、能登丼を提供されている店へ。これは手分けして配布に回りました。当方が担当したのは輪島市、珠洲市でしたが、珠洲に入ったとことで、すでに7時近かったので、途中で断念し、能登丼を提供されている磯の宿・せとに泊めていただくことにしました。能登丼談議をしながら、楽しく夕食をいただくことができました。カウンターでご主人や奥さん、息子さんとお話しながら、過ごすのは常連的な楽しみですが、よいですね。


せとの本日のお刺身

6月29日(水) 半島の先端でヘルスツーリズムを語る
  今日は珠洲でヘルスツーリズムの打ち合わせ会がありました。医療、福祉、大学、体験関係の仕事をされている方々にお集りいただき、そこにビーチホテルのスタッフ、行政スタッフが加わって議論。珠洲ビーチホテルをひとつの拠点にして、地域連携をはかりながら、いかに事業が展開できるか。すでに取り組んでいるノルディックウォーキングやヨガ、ピラティスなどのプログラムを充実させると同時に、新たなプログラム開発を地域の皆さんにも参加していただき展開することです。遠方からのお客様を増やすだけでなく、健康増進につながる活動は地域住民の皆さんにも参加いただき、健康で元気な人が多い地域を目指すことが不可欠だ。元気を回復するためには、元気な人が多い地域であることが基礎要件のように思う。地域全体がのびやかで、明るく活力に満ちていることが大切ですね。「珠洲(能登)の元気人」をクローズアップする活動を続けるとよいかもしれない。


6月28日(火) ヘルスツーリズムセミナー
  昨日に引き続き、東京に居て、日本ヘルスツーリズム振興機構主催のヘルスツーリズムセミナーに参加しました。会場は、日本エコツーリズム協会の事務局があるビルの中でしたので、夕方からのセミナーまで、事務局で仕事をさせていただきました。セミナーでは2名の方の講演がありましたが、ホテルリステル猪苗代の田中明氏の講演は具体的なプログラムの紹介があり、参考になりました。温泉療養7日間コースやデトックスセミナー、禁煙(嫌煙)セミナーなど盛り沢山です。昼食は、目黒駅前のビルの地下にあるかつ壱でカツカレーをいただきました。テレビで紹介されたそうで、カツカレーのお客様が多いとご主人が言われていました。


かつ壱のかつカレー

6月27日(月) 震災復興会議
  日本エコツーリズム協会の企画委員会及び震災復興会議があったので、参加しました。南三陸町でのモデルづくりについて提案させていただきました。日本エコツーリズム協会では、これまで、岩手の二戸、福島の裏磐梯を復興支援の拠点と位置付けてきていますが、宮城県での復興拠点として、大きく被災した三陸エリアがよいのではないかと考えてきました。そこで、先回、お邪魔した南三陸が良いのではないかと。海だけでなく、山に魅力的な素材がありそうなことと、宿泊施設で意欲の高い 南三陸ホテル観洋さんがあることが重要です。観光を通じた震災振興、エコツーリズムの発想での観光振興のモデルとして、日本エコツーリズム協会としても支援していただければと思う。会議の後は、事務局近くのトラットリアイタリア目黒店で懇親会でした。


懇親会でいただいた料理

6月26日(日) 浄土思想
  平泉が世界遺産に認定されたテーマは浄土思想です。平泉の基礎を築き、中尊寺を建立した藤原清衡が読んだ「中尊寺建立供養願文」にその思想が表現されています。鐘楼について語ったくだりは次のようになっていました。「右一音のおよぶ所千界を限らず、抜苦与楽普く皆平等なり。官軍夷虜の死する事、古来幾多。毛羽鱗介の屠を受くるもの。過現無量なり」。現代語訳では「鐘の音は、あらゆる世界に 分けへだてなく響きわたり みな平等に苦しみを抜き去り 安楽を与える 攻めてきた官軍も、守った蝦夷も 度重なる戦いで 命を落とした者は 古来幾多あったろうか いや みちのくにおいては 人だけではなく けものや鳥や、魚、貝も 昔も今もはかりしれないほど 犠牲になっている」と。そのような霊魂を鎮めるために鐘楼を建て、鐘の音が、霊を浄土に導く事をねがうと。それが、浄土思想の根幹にある発想です。現代だけでなく、次代にも通用する発想ではないでしょうか。


6月25日(土) 世界遺産
  小笠原が自然遺産に、平泉が文化遺産に認定されました。小笠原は、ピッキオの楠部さんを中心に日本エコツーリズム協会もお手伝いしてきています。平泉は仙台の志賀さんがフォローされています。その関係もあって、先日はご案内いただきました。お客が増えることが容易に想像されますが、自然資源や文化財を守りつつ、持続的に楽しんでいただけるようにするか、新たな仕組みづくりも期待されますね。平泉は街並もきれいになりつつありますが、一部では旧来型の看板や店舗も見受けられました。世界遺産に恥じないまちづくりが今後も求められます。例えば、平泉の街をぶらぶら歩きながら楽しむガイドツアーを設けて欲しいです。多くの観光客は平泉寺、毛越寺は行かれますが、一般の観光客が行かないようなポイントも案内いただくことも楽しみになります。


6月24日(金) 今井眞美子さん
  珠洲でのヘルスツーリズムの推進のために、セラピストの今井眞美子さんにお話をうかがいにお邪魔しました。地元でセラピーを提供されている方々が何名もいらっしゃいますが、そのお一人が今井さんです。ご自宅でサロンを開かれると同時に出張であちこちに出掛けていらっしゃいます。鉢伏山での癒しの森のサロンにも協力いただいています。経験豊富で、地域の事情もよくご存知ですので、珠洲ビーチホテルでのヘルスツーリズムの展開についても協力をいただきたいものです。ご自宅のサロンとは異なるプログラムができることが理想です。そのためには、事前にお話をうかがい、ハード整備にもご意見を出していただけると、よりよい仕組みが作れそうです。午前は能登手仕事屋を訪ね、星野さんのお話をうかがい、そばをご馳走になりました。


6月23日(木) 朝顔
  事務所の窓の下にプランターを置き、朝顔の種を16日に撒きました。事務所のあるアパートの細長い庭の端にはすでに芽が出ていましたから、遅かった感じでした。種も何年も前に(いつのことか覚えていませんが)採取したものを小瓶に入れて保管していたものを探し出したもの。果たして芽が出るか、植えた翌日から毎日様子を見ていましたが、ようやく芽が出ました。ちょうど1週間でした。早かったのか、遅かったのか分かりませんが、大きくなって、夏場に緑のカーテンとして冷房効果を発揮してくれることを楽しみにしていよう。


朝顔の芽

6月22日(水) 中谷健太郎さん
  由布院の中谷健太郎さんが加賀にお越しになられたので、夕方からご一緒しました。少し早く加賀についたので、錦城小学校に行ってみました。自分が卒業した学校ですが、健太郎さんの伯父にあたる中谷宇吉郎さんの卒業校でもあります。玄関を入った壁面に中谷宇吉郎の記念切手のパネルと深田久弥の記念切手のパネルがかけてありました。昔は中央の廊下にそれぞれのお写真が掲げられていたのですが、職員会議で先生方が会議中で確認できませんでした。中谷宇吉郎雪の科学館で健太郎さんと合流し、ホテルアローレにチェックイン。その後、大聖寺のへら亭で林弥子さんを交えて懇談させていただきました。へら亭の仕事の細かい料理を味わい、楽しいお話を存分に楽しむことができました。おふたりともお元気で何よりです。次回は由布院での再会をお約束してお開きとなりました。


へら亭のお作り

手間のかかった香箱蟹

リアルな梅の生菓子

6月21日(火) 五箇山
  五箇山地区でのエコツーリズムの推進についての相談のために、夕方から五箇山へ。よしのやさんでミーティング。以前からガイドを行っている方が何名かおられますので、そのような方々には講師役をお願いし、地域の宿泊業や観光関係、さらに一般住民の方々にも参加いただき、勉強会をすると良さそうです。地域住民が地域を語れるようにし、お客様と関わることへの抵抗感がない方がよいですし、お客様との関わりを楽しんでいただきたいですね。そのような住民が多くいることが地域を外に開くことにつながりますし、外から来られた人も居心地が良くなるのではないでしょうか。エコツアーのプログラムを開発するためにも、地域の人々の積極的な関わりを期待したい。


よしのやさんの山菜の天ぷら

ウドのなます

具沢山のみそ汁

6月20日(月) 祭の復活
  本日の岩手日報に、陸前高田市の気仙町で8月7日に「けんか七夕」を行なうことを決め、準備を始めておられることが記事になっていました。4台あった山車のうち、3つが被災し、1台のみ助かったとのことで、4つの町内会の若手が協力して、準備を行なっておられます。普段はけんかするために競い合って山車も作っておられるのでしょうが、・・・。祭は生活の一部であり、こんな時こそ行なうことで、地域に元気をもたらすことができるのではないでしょうか。若い衆の意気に感じて、地域の皆さんが、未来に向けて動き始めていただけることを期待したい。壊滅的な被災現場を拝見してきたが故に、余計強く感じます。記事は次にあります。岩手日報記事。今日の昼は、横川にあるレストランパイン(金沢市横川3丁目167 TEL 076-244-8831 営業時間11:00〜15:00、17:00〜22:00)という初めての店に参りました。出来て間もないようですが、お客様は多く、ほぼ満席状態でした。フルーツソース掛けの肉料理をいただきました。分煙になっていないところが惜しい。


パインのランチ

6月19日(日) 平泉
  世界遺産登録を目前に控えた平泉に連れていってもらいました。絶好の日和で、多くのお客様がお越しです。最初に毛越寺を見学。浄土庭園を一回りしました。大きな池を中心に伽藍が配置されていた往時の姿をイメージできるようです。次に平泉文化遺産センターで平泉の歴史と文化について勉強させていただく。その後、平泉観光レストセンターさんの駐車場に車をとめて、表参道月見坂を歩いて、中尊寺、金色堂とめぐる。長い坂道でよい運動になります。金色堂は大勢の人が解説を聞いておられました。一日かけてゆっくりと拝見すべきところですね。週末には世界遺産登録がされるようですから、ますます多くのお客様で賑わうことでしょう。東北への観光客が増える大きなきっかけになってくれることを期待したいですね。


毛越寺の浄土庭園

中尊寺本堂

金色堂新覆堂

6月18日(土) 南三陸町
  大震災後2度目の東北行きです。仙台でレンタカーを借り、志賀秀一氏の案内で南三陸町に行く。かつて、地域づくりの全国大会の分科会で当時の志津川町を訪れたことがあります。海に出て、養殖筏まで漁船で案内いただきましたね。今回は、まず町の南からの入口に位置する南三陸ホテル観洋にお邪魔しました。観洋さんの「ときめきピチピチ便り」は震災当初に発見し、たびたび拝見していました。被災者が500人ほど、滞在中とのこと。水道が通じていなくて、トイレは館の前の駐車場に仮設トイレが並んでいます。食事は用意されていますから、飲食のための水は別途確保されているようです。女将や常務からいろいろお話をうかがうことができ、有意義でした。夏までは避難されている方々がいらっしゃるようですが、それ以降の一般のお客様を受け入れるためのプロモーション活動が不可欠です。ロビーの窓からは穏やかな海が見渡せ、養殖のためのイカダも設置されはじめていました。昼食を御馳走になった後、仮役場や壊滅的な被害を受けた中心部を見学させていただく。志津川中学校から見下ろすと街全体が見えましたが、大きな建物がいくつか残っていますが、あとは瓦礫の山です。電信柱だけが新たに建てられたので、そこだけが真新しく異様でもあります。津波は川を通じて奥の方まで届いています。サケが遡上する美しい川だったようですが、鳥が集まり、川の中ではお魚が泳いでいました。美しい町や川が再生されることを期待したいし、何らかのお手伝いができればと思う。その後、岩手県西和賀町湯本温泉の対滝閣へ。町を散策し、軽く温泉につかり夕食を御馳走になりました。いわておかみ会の会長をされている大澤幸子女将が自ら穫ってこられたわらびや山菜の天ぷら、福宿という名前の吟醸酒も美味しかったです。若女将の昌枝(よしえ)さんも元気で明るく楽しい方でした。今後の活躍を期待したい。


観洋さんからの眺め

被災した中心部

津波にあわずに残った家も

6月17日(金) 日本エコツーリズム協会理事会・総会
  目黒の駅前のビルで日本エコツーリズム協会の理事会・総会があった。震災復興への支援活動も含め、新年度の事業が承認されました。新たな理事の選任も行われ、今後の2年間の体制が整いました。エコツーリズムの発想を活かした地域振興をいかに全国、世界で進められるか。日本人が楽しみ、海外からのお客様にも楽しんでいただく仕組みとして、しっかり構築していく必要があります。震災復興についても、エコツーリズムがどこまで機能するか、地域の保全や復興の活動に参加いただくプログラムもありですし、お客様からいただくお金の一部が保全や復興に活かされることがエコツーリズムの発想の基本にあることですね。


6月16日(木) 地域人コンセプトの深化発展を
  これまでの活動のコアにあるのは「能登人」をはじめとした人へのこだわりである。「よく似た素材、資源、環境はどこにでもある」と言われることも多く、そのような認識へのアンチテーゼとして、その地域で唯一無二の存在は一人ひとりの存在であることを提起してきた。それが、「味人」であり「能登人」である。その地域、その時、その場に固有の存在として、一人の人をどこまでクローズアップできるか。そのような人の魅力を伝えることを通じて、関係を結ぼうという人の動きを導き出すこと。それが最終的に地域経済を生み出し、持続可能な地域社会を形成する核となることを目指してきた。 今後も、人コンセプトの深化発展を進めてゆきたいものである。人情報のデータベースを作りたいということを申し上げてきたが、真に必要なのは、当人の語りを徹底して再現したインタビュー記事かもしれない。理想は当人と話していただくことだが、その疑似体験ができるような内容が望ましいのではないかと思う。対談やインタビューは読みやすく、イメージが膨らみやすい。


6月15日(水) 農家めぐり
  新江さんと八尾の農家を訪ねました。昨年度の事業に参加いただいている意欲の高い農家の沢井正治さんと山本勝昭さんです。農場を拝見し、いろいろとお話をうかがいました。昨年度の事業の成果として、沢井さんは数多くの野菜を作られていました。料理人たちと直接やりとりすることを楽しみにされています。実際に、料理人がすでに来ているようです。それがもっと広がり、八尾の中だけで売り切れてしまうような状況が来ることを期待したいですね。近くに、こんなに楽しい畑や農場があると、料理人さんはきっと仕事が面白くなるのではないかと思う。野菜などの素材は生産現場で、話をうかがい、収穫することを体験してもらうとよいです。午後からは珠洲に移動し、珠洲市総合病院の追分久憲院長にヘルスツーリズムの取り組みについて説明し、協力をお願いしました。良い関係で連携していけることを期待しています。


沢井さんと新江さん

山本さんと新江さん、長谷川さん、山本夫人

山本さんの畑の隣りのアサツキの花

6月14日(火) 新江憲一氏
  由布院から新江憲一氏が富山に来られたので、午後からおつきあいしました。最初にガラス工房にご案内し、3時間ほど過ごしました。器のイメージをかなり詳しくご説明して、料理に使う器をまとめて注文されました。一方で、ガラスの作品づくりの要領についても説明していただいたので、なんとなくご理解いただけたようです。その後、八尾に移動し、若い料理人さんたちとの懇親会を催しました。前年度の事業で、一度お越しいただいていますので、その時参加してくれていた料理人さんが何人か集まってくれました。お多福のもつ鍋を囲みながら、若い料理人たちを叱咤激励し、意欲を高めるためのよい機会になったのではないかと思う。料理人同士は感ずるものがあるようですね。食の魅力を高めるためには、新江さんの料理についての話は貴重です。多くの料理人さんに聞いて欲しいものです。もちろん、一緒に料理を作る活動も必要でしょうから、今年度も昨年同様に、食の研究会を開催したいと考えています。今回、新江さんが来られたのは、由布院別邸 樹のレストランDINIG 十和蔵の器調達のためでした。次回、由布院にお邪魔する時には、利用してみたいものです。


器のイメージを説明する新江さん

懇親会でいただいたもつ鍋

若き料理人と話す新江さん

6月13日(月) 健康を語る
  朝から珠洲で、ヘルスツーリズムについて話し続けた。最初は健康増進センターで、地域住民の健康づくりのプログラムとして水中運動や森林療法等の継続実施について提案させていただく。次にNPO法人能登すずなりで、体験プログラムの一つとしてのヘルスツーへの取り組みふぁできないか提案。午後は、今年度の事業展開について相談。まずは、地域内でお手伝いいただけそうな人にヒアリングして回ることにします。夕方からは、農作業療法を実践している一般社団法人ソーシャルビジネス創出機構の足袋抜さんたちにお話をうかがう。具体的な担い手がいらっしゃることは心強い。地域内にセラピーを仕事にされる人も増えており、ヘルスツーリズムの基盤はできつつあります。健康のためには日々の実践が重要であり、それが生活習慣病や認知症の予防になるのでしょう。生活習慣病とは的確な表現であり、病気を防ぐ生活習慣が大切ということです。昼前のあいた時間に野々江総合公園の亀ケ谷池のぐるりを一回りしましたが、歩いたり走っている人が複数いらっしゃいました。飯田の中心部から近い所によい場がありますね。


亀ケ谷池

エゴノキ

ウツギ

6月12日(日) 「鉄理論=地球と生命の奇跡」
  先日、たまたま本屋で見つけたのが矢田浩著『鉄理論=地球と生命の奇跡』(講談社現代新書)です。畠山重篤さんの『鉄が地球温暖化を防ぐ』を事前に読んでいたので、タイトルに反応して手にとってみたのです。鉄を海に撒くことで、植物プランクトンが増え、炭素が固定されるかどうかを調べる実験を世界各地で行なってきたことが詳しく紹介されています。実験結果は鉄を散布することで、プランクトンが増え、炭素が固定され、海の中で沈んでいくことが確認されています。二酸化炭素の増加を防ぐ手だてとして有効であることがうかがえます。一方で、鉄をダイレクトに撒くのではなく、畠山さんが実践されているように、森を保全することで、腐葉土の中でフルボ酸鉄が増え、それが海に流れ込むことで、海藻などが増えることを通じて、炭素が固定されていくという原理も魅力的です。いずれにしろ、鉄が生物を豊かにし、炭素を固定する作用があることは確からしいという、魅力的な話です。


6月11日(土) 世界農業遺産
  佐渡とともに能登が「世界農業遺産」に認定された。里山里海での活動が評価されたということです。千枚田、あえのこと、揚浜式製塩、海女漁、木炭製造など、伝統的な里山里海の営みが貴重だからでしょう。今後、これらが確実に維持、伝承されるとともに、里山里海で人々が生き続けられるようにすることが大事です。輪島の海女は200人以上いて、世界一とのこと。揚浜式製塩に取り組む人は増えていますが、その他は減少の一途をたどっています。その状況をどう打開するかです。千枚田は地元の人たちだけでは維持できず、ボランティアやオーナー制度を導入して維持されています。多くの棚田も山奥から放棄されてきています。あえのことの伝承者は100名を切っていますし、木炭製造も珠洲の大野さんのように頑張っている人もいますが、絶対数は少ないですし、それにともない、雑木林の保全がされていませんね。里山の根本的な問題である人工林の保全がまだまだでもあります。森林の4割を占める人工林の保全を抜きにして、里山の再生もありえないし、下流域の人々の水の確保や水害を防ぐことはできないでしょうね。そのようなことに本格的に取り組む契機としていただきたい。北國新聞記事


6月10日(金) 商業活性化
  午後は、商業活性化審議委員会が県庁でありました。1時から5時まで、22の案件についての説明と質疑が続きました。ほとんどの案件にコメントしたので、さすがに疲れました。最後は時間が足りなくなってきたので、コンパクトに話をさせていただきました。念頭においたのは、商業活性化につながる事業になっているか、個々の商店が新たな商品開発、事業開発に取り組む契機になっているか、個々の商店にお客様が入るような仕掛けがしてあるか、地域住民を巻き込んでいるか、そして、イベントの場合は、一時の活動から継続される事業につなげられているか、などです。例えば、歩行者天国のような事業でも、道路上でのことだけでなく、周囲のお店で何を行なうか、も重要ですし、せっかくお客様にお越しいただくのだから、お店で憩っていただけるような場づくりが必要ですね。珠洲市と交流している木倉町商店街もイベントを行なっておられますが、珠洲の産品を継続的にメニューに活かし、販売していただけるとよいですね。


6月9日(木) 新しい出会い
 午前は西新井の成仁病院を経営されている医療法人社団成仁の片山成仁理事長に面会。珠洲でのヘルスツーリズム事業についてご意見をうかがいました。率直なご意見をいろいろうかがうことができ、きわめて有意義な時間でした。その前に院内を見学させていただき、それも勉強になりました。精神科の専門病院で、空間づくりにもいろいろ工夫がされています。午後は日本ヘルスツーリズム振興機構を訪ね、今年の石川県での事業について相談させていただきました。その後、日本エコツーリズム協会の事務局に戻り、伊豆半島の先端・南伊豆町弓ケ浜から訪ねてこられたヴィラ弓ケ浜のオーナーの方とお話をさせていただきました。魅力的な資源が多くあり、展開の仕方によっては、エコツーリズムでの地域振興も十分可能なところとお見受けいたしました。一度訪ねてみたいですね。


成仁病院の病棟のラウンジ

診察室

ナースステーションの円形テーブル

6月8日(水) のとだらぼち
 昼前に東京に着き、まずは目黒の日本エコツーリズム協会の事務局へ。近くの「くうや」(品川区上大崎2-18-20中銀目黒駅前マンションB1 TEL03-3493-2658)で昼食をいただく。ご夫妻が経営されている小さな店であるが、お二人の動きに無駄がなくてさすがである。長年経営されている印象だ。ランチの漬け丼750円をいただく。店はカウンターとテーブルと小上がりで狭いスペースの中にコンパクトに用意されている。事務局で打ち合わせの後、少し仕事をさせていただき、早めにおいとまし目白のホテルへ。夜はのとだらぼちへ行く。毎月のように東京に来ているが、日本エコツーリズム協会の会議が夕方からあり、その後懇親会が恒例で行われ、いつも目黒で飲んでいることがほとんどでしたから、なかなか新橋まで足を運んでいる機会が無かった。のとだらぼちは相変わらずで落着くが、少し変わったのはビルの入り口のところに小さな看板を追加し、今日のおすすめメニューを紹介するようになっていること。だらぼちらしく、小さいので他のりっぱな立て看板に比べ目立たない。奥ゆかしい!競いあって出すのも、いかがなものかという気持ちが働いているようだ。能登の地酒が3種入っていたので、一通り味わって帰る。最後に店長が小さいころからばあちゃんに作ってもらっていたという「大根の煮ザイ」(大根とこんかいわしを煮た料理)をいただいたが、美味しかった。ソウルフードの名に値する一品だ。


くうやの漬け丼

だらぼちの店内

大根の煮ザイ700円

6月7日(火) 本質的議論
  朝一番から珠洲にいました。西勝寺の西山住職と3時間近く、議論しました。「能登人と過ごす能登時間」のあり方から、里山での活動、大学の地域活動、観光施策、産業構成、職業についての価値観、人口予測、さらには、出身者との関わりなど、多岐にわたりました。能登時間については、誰を対象にしている事業なのかという問いかけであり、集客の働きかけが弱いことへの指摘でもありました。里山については、所有者が自分でも分からなくなり、放置されている森林が多く、所有権が複雑になっているので、活用は難しくなっているのが現状。保全と活用可能なのはほんの一部だ。政策を明確に打ち出して、法律から整備してかからないと、市や県レベルの取り組みでは進まないのかもしれない。大学の地域活動は、大学のための活動であり、里山や中山間地域を対象にしていても、持続的な活動にはなり得ないであろう。大学関係者の善意を認めつつも、多くを期待してはいけない。観光については、小規模な宿泊業や飲食業の増加を観光施策の柱にしようとしても、かつての能登ブームが衰退したのはなぜか、総括されていない。廃業していく民宿が多いのはなぜかをしっかり分析しないといけない。産業として一次産業の評価、地位は極端に低くなっているが、それは職業的な価値観の刷り込みが教育を通じて蓄積されてきた成果でもあるので、一部の活躍・成功している農家をクローズアップしてみても、90%以上の兼業農家にとっては無理ではないか。人口は減少せざるをえないが、どのようなところで折り合いをつけるのか、昔は一石一人と言われたようであるが、それの現代版を考える必要がありそうだ。当面の優先課題は出身者へのアプローチを継続し、徐々に戻ってくる人を増やすこと。大規模化、高速化を追求してきたが、その誤りは明らかになり、逆の動きが増えていくであろう。餓死しないで生き延びやすいのは海沿いだ。目の前に食べられる物が多く存在し、食べるものには不自由しないはず。山間の集落は無くなっても、海沿いの集落が続いているのは、そのおかげ。林業のあり方、森林の保全と活用についてはもっと議論が必要ですし、多くの宿題をいただいか感じです。西山先生の当面の活動の柱は、蓄積されてきた資料を整理し、記録をしっかり残すことです。午後は門前で星野さんと意見交換。西山住職との議論と共通する話題は、大学と地域との関わり。大学をあてにしない地域活動が重要で、その前に、住民の参画を粘り強く働きかけ、具体的に多くの支持と参画を得ている事業が未来につながるのではないか。交流については、出身者でなくても、能登を好んできてくださる方々との関係深化を図ることが重要であるとの指摘もあり、両方の取り組みを別々に行なうのか、一緒に行なうのか。里山のあり方についても、問題意識を共有されているようです。課題は多く、優先順位を明確にしないといけないですね。


6月6日(月) 生活習慣
  このコーナーでも何度か書いていることだが、生活習慣を続けることの意義は単純だ。習慣として行なうことにより健康にもなり、病気にもなる、それが生活習慣病であり、避ける為には、健康につながる習慣を実践することだ。毎日、繰り返すことで、徐々に苦でなくなるし、身体が動くようになるということもあるでしょう。かつておつきあいいただいていた社長からうかがった話で印象に残るのは「良き習慣は人生を豊かにする」ということ。健康であることが、人生を謳歌する基本であるならば、心身ともに健康であるために、よき生活習慣のひとつやふたつはもちたい。例えば、このコーナーを書き続けるということも習慣だし、プールでの水中運動も、読書なども、良い方の習慣でしょうね。


6月5日(日) 森は海の恋人
  東日本大震災で養殖設備を流されてしまった気仙沼の畠山重篤さんが今年も植林されたとの記事が出ていました。「森は海の恋人」という魅力的なコンセプトを掲げられた活動も今年で23回目とのこと。宮城県気仙沼市に隣接し、上流域にあたる岩手県一関市の森で行なわれています。全国から1200人が参加し、1000本余りの木を植えられ、畠山さんは「森と川が無事なら海も大丈夫」と。能登でも、森の整備を提案しているが、落葉広葉樹を植えるだけでなく、スギやヒノキ、アテなどの林を枝打ち間伐し、混交林を作ることでも、海を豊かにする効果は発揮できるので、人工林比率の高い能登では、優先的に取り組んで欲しい。森の中の樹木の根元に落ち葉や枯れ枝等が堆積し、腐葉土が増え、保水力が高まることで、フルボ酸鉄や微量栄養素などの海洋資源を豊かにする物質が川に安定的に流れ込み、それが海に達するようになるのです。腐葉土で覆われていれば、水が一気に流れ出ることや土壌流出も防げるので、洪水や土砂崩れを防ぐ効果も期待できます。森の保全は下流域に暮らす全ての人にとっての優先課題です。畠山さんの活動の様子は次のブログ「周回軌道」で。フルボ酸鉄の話は、松永勝彦さんへのインタビュー記事をご覧下さい。(5月13日の金沢便り参照)


6月4日(土) 森林医学
 森林セラピーの医学的根拠を研究した論文等をまとめた本として『森林医学』があります。2006年に刊行され、2009年には『森林医学2』が発行されています。森林療法や森林セラピーを考える上で、基礎となることが網羅されています。アロマセラピーや音セラピー、園芸療法等についても紹介されています。実際のフィールド整備のあり方についての研究成果も盛り込まれていますので、今後の活動の際に活用できます。新たな領域ですから、今後も研究成果の蓄積と活用が進むことを期待したい。


森林医学

6月3日(金) エコツーリズム研究会
 前年度、震災が発生したために延期した石川エコツーリズム研究会の第4回目を開催させていただきました。エコツー事業者や宿泊業、旅行業、行政の方々にお集りいただき、エコツアーのプランづくりに取り組んでいただきました。相互理解を促進するために、前回とは異なるメンバー構成でグループを作り、自己紹介から始めて、議論いただきました。お互いがどのようなことをされているかを知ることから、相互にお客様に紹介しあうことが可能になります。そのような場としては一定の機能をはたしていると思うので、新年度は、加賀、能登、白山麓、金沢それぞれに、エコツアーのプログラム体験と宿泊施設をめぐる研究会を行ないたい。研究会には、外部の旅行情報誌(サイト)を発行しているような方々にも参加を呼び掛けてはどうかと思う。研究会の内容をネットで発信するとともに、その成果を踏まえて、テストツアーをすることが次につながるのではないか。 


プランの発表

6月2日(木) 人はいる
 あちこちでうかがうことの一つが「人がいない」という話。人口減少が続き、高齢化している町や村でもよく出る話だ。行政の人も「○○には人はいない」ということをよく言われる。しかし、こんな失礼な話はないのではないか。たしかに、人口が限りなく減少し、集落が消滅している地域もある。しかし、多くの地域では、生活している人は一定数いる。そのような地域に根付いて生きる一人ひとりの人生には、それぞれの歴史があり、ドラマがある。そのことを知らないだけだし、じっくり話をうかがうと魅力はいろいろあるはず。そのようなことをしっかり表現し、他の人とつないであげることで、地域の魅力は飛躍的に高まるはずではないか。そして、注目されたり、異なる世代や他所の人と交わることで、良好な刺激が与えられれば、当人も意欲を高め、新しいことに取り組んだりするようになるかもしれない。よそ者が地域に関わる一つの役割は、地域に生きる一人ひとりを丹念に取材し、その人の魅力を発信してあげることではないかと感じている。それが、「能登人」という冊子やサイトを作ることを通じて感じてきたことである。 


6月1日(水) 八尾と城端
 久しぶりにお会いした人が二人。八尾で観光協会長と午前にお会いしました。随分久しぶりのことであるが、よい機会になりました。今後も継続的に意見交換していきたいものです。八尾の地域振興のキーマンの一人であるのはたしかですし、観光協会の活動が重要な意味を持っています。提案活動が重要ですね。午後は南砺市城端庁舎で打ち合わせがありましたので、久しぶりに庁舎に入りましたが、城端町時代にお世話になっていた産業経済部長にお目にかかることができました。当時は商店街の活性化やじょうはな織館の開業準備、ツーリズムの推進などのお手伝いをしていました。この度はエコツーリズムの推進のお手伝いをさせていただく予定です。持続される関係が重要であると考えてきましたので、今後もおつきあいいただければと思う。


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