【優秀賞受賞】 菓子(万頭)◎ 

美味しい素材に恵まれた石川から

よもぎ万頭

 のと屋がつくるよもぎ万頭。
 その味わいのポイントは、ふんだんに使われたヨモギと、適度な粒の食感を追求した小豆餡にある。小豆を炊くようすを見せていただいた。


 「ちょうど蜜づけしたところですから、どうぞ」
 多くのお菓子屋さんが、機械で回して小豆を炊く中、のと屋では小豆の粒が潰れないようにザル炊きで炊くのがこだわり。
 ちなみに大釜の木の蓋は、大工をされている奥様のご実家で作ってもらったそうだ。以前のステンレスの蓋だと、水蒸気が溜まって中に水滴が落ちてしまった。湿気を吸う木に代えたことで解消された。

 
 小豆は主に3種類を使い分ける。皮が不要な漉し餡用には粒が小さいもの。一方きんつばなど、皮の食感をきちんと保ちたいものは、皮がしっかりした北海道の大納言を使う。珠洲や丹波の大納言になると、皮がしっとり柔らかい。20種類近くのサンプルを取り寄せて吟味する。自然のものだけに、その年の気候で出来が変わり、価格も随分変動してしまうのが悩みといえば悩み。
 よもぎ万頭には大納言小豆を使う。加賀の丸いもをすりおろして加え、フワッと仕上げる。「石川県は素材という意味で恵まれたところだと思いますよ」

 
 2つに割ってみると、ヨモギの繊維が残っている。万頭の皮の緑色で、いかにたっぷりヨモギが使われているかが分かる。香りも心地よい。ヨモギの緑は、5月頃は黄色がかった青、暮れには深みのある緑へと微妙に変化するそうだ。これも自然の素材ならでは。米粉は京都のものを選ぶことで、皮にふわりとしたしっとり感を出している。
 高岡での修業時代に出逢ったよもぎ万頭をベースに、もう少し「モチっ」とした食感を出せないかと工夫を重ね、独自の製法に辿りついた。
 お店を出ると、背後には小山が控え、穏やかな山裾の景色をつくっていた。その穏やかさは、ふもとの里で生まれるヨモギの香りのお万頭に、味わいとなって息づいている。




【よもぎ万頭】
 1個 ‥‥110

[地元産材料]加賀の丸いも


御菓子司のと屋

〒929-1721 石川県鹿島郡中能登町井田53 TEL.0767-76-1479 FAX.0767-76-1479