九谷焼  



無鉛釉薬で世界ブランド再興へ
九谷焼


無鉛釉薬を初めて開発

 九谷焼では、無鉛の食器をベースにしたJ-ブランド(ジャパンブランド)づくりがスタートしている。
 焼きものにとって無鉛化は、長年の技の蓄積を根幹から見直すような大きな取り組み。陶磁器の絵の具は鉛によって色がキレイに発色するもので、鉛が必ず入っているのが通常だ。作家たちもそれぞれに絵の具を工夫し、独自の「色」を持っている。そうした中で無鉛化に取り組んできた九谷業界は、2004年の秋に無鉛の釉薬を初めて発表した。


大胆なチャレンジで挑んだ海外見本市

 その技術を携えて、2005年の1月末から2月にかけてフランスで行われる国際見本市に出展する。
 出展するのはディナーセット。九谷焼でつくる洋食器である。鉛を全く使っていないため、当初どこまで色が出るか不安があったそうだが、作家それぞれが特徴のある色を出してきた。
 カトラリーでの食事が前提の洋皿は、通常フチにしか絵を描かない。しかし今回は、従来よりも丈夫な絵の具を使い、中まで大胆に加飾を施したアイテムも登場した。
 絵の具の新技術に止まらず、デザイン的にも新たなチャレンジが試みられている。現在の日本の市場に合わせて進んできた方向から一旦離れ、新たな目線でのモノづくりに挑戦した。


ヨーロッパに九谷焼を復興したい

かつて明治期の九谷焼は、日本からの輸出陶磁器の6割を占め、ヨーロッパでも高い評価を得ていた。その当時のデザインエッセンスを洋食器に再現しようと
今回の作品が生まれた。
 プロジェクト・エフ合同協議会商品開発担当の嶋崎さんは、「今回我々が作ったものが、どう評価されるかが楽しみなんです」と語る。「いかに九谷をアピールするか考えたときに、我々には伝統の財産があるわけです。それをハッキリ前面に出そうよ、っていう試みなんです」。
 無鉛の基準は、ヨーロッパが先行している。日本では全国各地にある伝統工芸への配慮から立ち遅れていた。しかし、それも長くは続かないと見ている。中国も2年前に批准した。
 無鉛食器は焼成温度が違うため、従来の窯では耐用年数が短くなりすぎ、専用の窯への更新が必要になる。原料コストも、通常との違いから高くならざるを得ない。「目先じゃなくて、5年後10年後を考えたら無鉛化は絶対やっていかなきゃならないんだと、業界全体でいかに職人さんを指導していくかです」。


デザイン力が九谷の真価になる

 九谷焼のアドバンテージもある。ヨーロッパにも焼きものはたくさんあるが、そこで使われるのは洋絵の具。「我々が使っている盛り絵の具(ガラス釉・フリット釉)ってのは無いんです。ましてや、これで無鉛化に成功したのは九谷業界が初。
 これだけ食器のある国もない。それだけノウハウがある。バブルの頃に洋食器がものすごく日本に入ってきたのを見て、悔しくて仕方がなかった。技術的には絶対勝ってるんだから、市場でも勝てる筈」。
 無鉛ができたことによって、可能性が出てきた。あとはモノの真価がこれから問われる。「今回、時間的にできなかったが、透光性の九谷はすごくキレイな透明感のある白になる。これがうまくいけばボーンチャイナにも対抗できる」。
 今自分たちの持っている素材が、アメリカやヨーロッパの市場でどういう反応を受けるのか。色は、技術は、デザインは。その評価を踏まえてデザイン力をどう強化するか。
 「いかに情報を集めるかが大事。とりあえず現地で志向を調査し、肌で感じて来なきゃ。一回で終わるのでは無く、3年後5年後に花開かせるために、何かヒントがあると思う」。 


海外にもアピールできる物語性を

 ヨーロッパが、日本文化の価値を認めたのは江戸時代から明治のはじめ。九谷庄三が和薬と洋薬の両方を加味した、非常に細密かつ豪華な上絵付けで高い評価を得た実績もある。「古九谷様式・吉田屋様式は本当に僕らのかけがえのない財産」。
 JAPANブランドの事業は、日本の隠れた素材を海外にアピールできるチャンスだ。伝統産業は今、全国で260が指定されており、そのほとんどは産地名がそのままブランド名になっている。
 しかし、九谷焼がJAPANブランドの活動の端緒として景徳鎮から中国へ商品を出したところ、西日本の別地域で作られた九谷なる商品が現実に出てきている。日本国内でも近年、東京国立博物館以下、全国の美術館が「九谷」の名をプレートから消していっている。
 商品のバックグラウンドにある物語が付加価値になり、生活者のモノ選びの決め手になる時代、石川の宝を守るために、情報化もまた産地の抱える大きな課題だ。



「JAPANブランド」とは
地域特性を活かした既存製品の魅力・価値をさらに高め、全国や海外のマーケットにも通用するブランド力を確立すべく、マーケットリサーチ、専門家の招聘、新商品開発・評価、展示会参加、販路開拓等の取組みを行う対象プロジェクトに対し、国(中小企業庁)が総合的に支援を行う事業です。














プロジェクト・エフ合同協議会(寺井町商工会)
〒923-1121 石川県能美市寺井町ヨ47
TEL.0761-57-3511 FAX.0761-57-3510
石川県陶磁器商工業協同組合
http://www.kutani.or.jp/
九谷焼販売協同組合
http://www.kutani-japan.com/
新九谷事業協同組合
http://www.shinkutani.jp/

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